2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a novel early-onset diabetes model in house musk shrew (Suncus murinus)
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20K06401
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
佐々木 典康 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (20307979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 剛治 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (10350175)
神田 秀憲 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 助教 (30825609)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スンクス / 早期発症糖尿病 / FOXO1 / 膵β細胞脱分化 / モデル動物 / 脂肪細胞由来幹細胞 / FOXO6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非肥満型の早期糖尿病発症スンクス(EDS)をモデル動物として、成長とともに寛解する自然発生2型糖尿病の病態メカニズムを探ることとした。まずEDS系スンクスと糖尿病非発症の正常スンクス(BK)との交配を繰り返すことで遺伝的背景を揃えた糖尿病スンクス(EDBK)を作出し、病態形成の遺伝的関与を調べることにした。しかし、COVID-19まん延により繁殖コロニーを縮小したため、交配計画が上手く進まず、2022年にはメス個体が死滅したためにEDSは系統として維持不可能となった。現在はEDBKから糖尿病の発症個体を選抜しているが、EDSよりも軽症化する傾向にある。可能性としてはEDSのミトコンドリア遺伝子上に担当遺伝子が存在することが考えられる。 EDBKの膵β細胞を用いた網羅的解析が困難となったことから、スンクス脂肪由来幹細胞を作成し、この培養細胞系で検討を行うことにした。まず転写因子FOXO1の役割に着目した。スンクスFOXO1は他の動物種とも相同性が高く、高度に保存されていた。糖尿病の際には、肝臓での糖新生亢進が血糖値上昇に強く影響するため、糖新生関連の遺伝子発現に影響を及ぼす転写因子FOXO6についても検討を試みた。摂食状態のスンクスでは、肝臓でのFOXO6発現が低くいため、脂肪組織のcDNAからRACE法によりFOXO6の全長クローニングを試みた。得られた部分配列は、高度に保存されておりコビトジャコウネズミのFOXO6と99%程度の相同性を示した。 引き続きFOXO1およびFOXO6の構造を明らかにするとともに、EDBK由来の脂肪幹細胞を用いて、FOXO1およびFOXO6の糖尿病病態形成への関わり、特に糖新生への影響を明らかにすることを検討している。また、現在維持しているEDBKの選抜を進めることで、EDSと同程度の早期発症糖尿病を示す個体を作出していく予定である。
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