2023 Fiscal Year Annual Research Report
重症熱性血小板減少症候群の病態形成機序の核心解明を目指したネコ症例の病理学的解析
Project/Area Number |
20K06412
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
坂井 祐介 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (60615722)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | SFTS / 人獣共通感染症 / 獣医学 / 獣医病理学 / ネコ |
Outline of Annual Research Achievements |
[SFTS発症時の免疫異常について] これまでの年度ではSFTSで斃死したネコのリンパ節では活性化した胚中心B細胞のマーカーであるBcl6やKi67陽性細胞が顕著に減少していること、アポトーシスマーカーであるcleaved-caspase3に陽性を呈するT細胞の顕著な増加が認められることを明らかにした。しかし、解析に用いたネコは抗体価が不明であり、組織変化と実際の免疫応答との関連性が明らかにはできていなかった。この点を明らかにするために、本年度は過去にSFTSVの実験感染を実施し、抗体価が明らかなネコの組織標本を用いて胚中心反応やT細胞の解析を実施した。この結果、軽症で抗体価の高いネコでは胚中心B細胞マーカーであるBcl6陽性細胞が多く、アポトーシスマーカーであるclaeved-Caspase3陽性となるT細胞が少ないことが明らかとなった。以上より、胚中心B細胞の活性化の抑制やT細胞のアポトーシスはSFTSの際に生じる免疫抑制に寄与している可能性が高いものと考えられた。 [SFTS発症時に認められる異型リンパ球の生存機構について] 本研究では、SFTS発症時に出現する異型リンパ球(形質芽球)の維持・増殖機構についてもSFTSにより斃死したネコの組織標本を用いて解析した。これまでの年度の解析では、これらの内Bcl-XLおよびMCL-1の発現が異型リンパ球で認められた。本年度にはPBL1細胞を用いてSFTSVの感染によりこれら因子の発現上昇が認められるかを解析したが、発現上昇は認められなかった。一方で、SFTSVとこれら因子の多重染色を実施し精査したところ、Bcl-XLやMcl1の発現上昇は必ずしもSFTSV感染細胞のみで認められるものではないことがわかった。このことから、形質芽球の維持・増殖機構については生体内に存在する他の細胞からの働きかけが重要である可能性が示唆された。
|
-
[Journal Article] Lethal severe fever with thrombocytopenia syndrome virus infection causes systemic germinal centre failure and massive T cell apoptosis in cats2023
Author(s)
4.Sakai Y, Mura S, Kuwabara Y, Kagimoto S, Sakurai M, Morimoto M, Park ES, Shimojima M, Nagata N, Ami Y, Yoshikawa T, Iwata-Yoshikawa N, Fukushi S, Watanabe S, Kurosu T, Okutani A, Kimura M, Imaoka K, Saijo M, Morikawa S, Suzuki T, Maeda K
-
Journal Title
Frontiers in Microbiology
Volume: 14
Pages: 1333946
DOI
Peer Reviewed / Open Access