2020 Fiscal Year Research-status Report
体細胞クローン胚への改変処理に基づく遺伝子ノックアウトマイクロミニピッグの作出
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20K06472
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三好 和睦 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (70363611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (30287099) [Withdrawn]
川口 博明 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (60325777) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 体細胞核移植 / エレクトロポレーション / マイクロミニピッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子ノックアウト(KO)動物の作出においては、標的遺伝子の両アレルが破壊されている(bi-allelic KO)ことが重要となる。一方のアレルしか破壊されていない場合には、そのような動物同士を交配させてbi-allelic KO動物を作出しなければならないため、多大な時間、費用および労力が必要となる。そこで、ブタ単為発生卵にエレクトロポレーション(EP)法を用いてα-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子(α-GalT)に対応するCRISPR/Cas9関連成分を導入し、それらに由来する胚盤胞におけるα-GalTの変異状況を調べた。その結果、66%の胚盤胞がbi-allelic KOであることが示された。さらに、マイクロミニピッグ(MMpig)体細胞クローン胚にEP法を用いて低比重リポタンパク質レセプター遺伝子(LDLR)に対応するCRISPR/Cas9関連成分を導入し、それらに由来する胚盤胞におけるLDLRの変異状況を調べた結果、82%がbi-allelic KOであった。これらのことから、体細胞クローン胚にEP法を用いてCRISPR/Cas9関連成分を導入することにより、bi-allelic KO MMpigを効率的に作出し得ることが示唆された。一方、本研究の成功には、高い発生能力を持つMMpig体細胞クローン胚を作出する技術が不可欠である。最近、ヒストンH3K4およびH3K9のメチル化が体細胞クローニング効率を引き下げる一因となっていることが報告された。そこで、MMpig体細胞クローン胚をヒストンH3K4およびH3K9のメチル化阻害剤であるMM-102およびBIX01294で処理してみたが、いずれの場合にも体外発生を改善することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、MM-102およびBIX01294での処理がMMpig体細胞クローン胚の体外発生に及ぼす影響について明らかにできたため。また、本研究で確立しようとしている技術を用いてbi-allelic KO MMpigを効率的に作出し得ることを示唆できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年に国内で26年ぶりに豚熱(豚コレラ)が発生して以来、ブタの移動が制限されている。日本最大の養豚地域である鹿児島県でも県外からのブタの導入禁止が続いているため、当初予定していたMMpigの購入は難しいかもしれない。よって、県内で飼育されているミニブタや食用ブタの利用についても検討したい。
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Causes of Carryover |
出席を予定していた学会が新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催となったため、旅費が不要になった。当該助成金は、翌年度の物品費に加えたい。
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