2021 Fiscal Year Research-status Report
[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸化に伴う鉄硫黄クラスターの構造変化に関する研究
Project/Area Number |
20K06511
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西川 幸志 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (80723593)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NiFe]ヒドロゲナーゼ / 鉄硫黄クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
水素の酸化・還元を触媒する金属酵素、ヒドロゲナーゼは広く様々な生物に見出されており、生物のエネルギー代謝において重要な役割を担っている。多くのヒドロゲナーゼは酸素存在下では不活性化されるが、一部の[NiFe]ヒドロゲナーゼは酸素耐性を持ち酸素存在下でも活性を維持できる。これらのヒドロゲナーゼは特異な鉄硫黄クラスターを持っており、酸化に伴い鉄硫黄クラスターが構造変化し電子を供給することが重要であることが分かっているが、酸素耐性の無い標準型の[NiFe]ヒドロゲナーゼでも、酸化に伴い鉄硫黄クラスターの構造変化が起こっているようなデータが集まりつつある。本課題では、硫酸還元菌由来の標準型[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸化還元に伴う鉄硫黄クラスターの構造変化を調べることで、[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸素耐性獲得の要因を検討する。 試料調製のために、まず硫酸還元菌の大量培養を窒素フローにより嫌気的に行い、次いでグローブボックス(N2:97%, H2:3%)内で嫌気的に酵素の精製および結晶化を行った。また、得られた結晶を大気に暴露し酸素による酸化型結晶を調製した。これらの2状態についてX線回折実験を行ったが、嫌気型の結晶構造の一部において、酸化型に見られる特徴的な構造が観測されたことから、試料調製のいずれかのステップで酸素が混入していることが疑われた。精製および結晶化には、グローブボックスを用いるが、経年劣化により微量の酸素が混入していることがわかった。酸素の混入をふせぐ補修を実施する予定であったが、コロナ禍で修理に必要な部材の入手が間に合って居らず、修理に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も、コロナ禍による大きな行動制限によって、研究活動に大幅な支障を来しており、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った還元型結晶の測定からグローブボックスの不具合が判明したため、酸素の混入をふせぐ応急処置を行い、嫌気環境を維持できているかの検証をまず行う。X線回折実験を行い、結晶の品質を評価する。もしも結晶が酸化されている場合には、グローブボックスの張替えを至急に実施する必要がある。あるいは、酸化された結晶を還元することで、嫌気的に調製した結晶と同品質の結晶を調製する方法を検討する。 還元型結晶が、還元型であり、且つ高品質の回折データセットを与えうる品質であれば、還元型結晶に対して酸素を作用させ、酸化型結晶を調製する。酸素による酸化は結晶へダメージを与えることが予想されるため、酸素暴露の方法について種々の方法を試みる。また、嫌気的に酸化剤を作用させることにより、酸素によらない酸化についても調査する。
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