2023 Fiscal Year Annual Research Report
繊維芽細胞増殖因子FGF5と受容体の相互作用およびアプタマーの阻害機序の解明
Project/Area Number |
20K06529
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂本 泰一 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (40383369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正隆 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90322825)
杉山 成 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (90615428)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アプタマー / 線維芽細胞増殖因子 / 構造解析 / 物理化学的解析 / ヌクレアーゼ耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,試験管内分子進化法(SELEX法)を用いて,繊維芽細胞増殖因子FGF5に結合するアプタマーの取得にすでに成功している.このアプタマーは,FGF5に対して特異的に,そして強固に結合する(解離定数Kd = 約0.1 nM)ことが明らかとなっているが,その結合メカニズムは明らかになっていない.そこで本研究では, FGF5とアプタマーの相互作用を原子座標レベルで明らかにし,相互作用メカニズムを明らかにすることを目的としている.相互作用メカニズムを明らかにした後,論理的にアプタマーを改変することを目指している. SELEX法により得られた複数のアプタマーの配列を比較し,それらの配列を組み合わせて短鎖化した変異体を作成した.その結果,アプタマーを42残基まで短くすることに成功し,FGF5の結合活性を保持することを確認した.このように短鎖化することによって,立体構造の揺らぎが抑えられ,X線結晶構造解析における結晶化に有効であると考えた.そこで,アプタマーとFGF5を大量に調製して,様々な条件で結晶化を試みたが,結晶は得られなかった.またFGF5と,その受容体であるFGFR1cとの複合体の結晶化も試みたが,結晶は得られていない. 一方で,NMRによるイミノプロトンシグナルの解析によって,アプタマーは2つのステム・ループ構造と多岐ループを持つことを明らかにした.また,アプタマーの改変体とFGF5の相互作用解析から多岐ループが結合活性に重要であり,2つのステム・ループ構造と末端ステムをDNAに置換できることを明らかにした.DNAへの置換によって血清中での安定性が向上したことから,ヌクレアーゼ耐性が向上したと考えられる.今後,in vivoでの実験をするにあたって重要なステップをクリアした.
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