2022 Fiscal Year Research-status Report
白色脂肪細胞の分化と肥大化の新規制御機構とその破綻による病態の解明
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20K06559
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 孝哉 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (20251655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 延之 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20610504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インスリン / 白色脂肪細胞 / 脂質合成酵素 / GTP結合タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、脂肪細胞特異的rac1ノックアウト(adipo-rac1-KO)マウスの表現型とそのメカニズムの詳細な解析を行った。皮下白色脂肪組織、生殖腺周辺白色脂肪組織のいずれも、adipo-rac1-KOマウスにおいて、萎縮と組織重量の低下が観察され、両組織の白色脂肪細胞は有意に縮小していた。そこで、今年度は、脂肪細胞のin vitro分化誘導系を確立し、この系を用いて、脂肪細胞の分化や肥大化におけるrac1遺伝子の機能解析を進めた。まず、コントロールマウスの白色脂肪組織由来の前駆脂肪細胞とadipo-rac1-KOマウスの白色脂肪組織由来の前駆脂肪細胞をそれぞれ単離し、7日間分化誘導を行った。その過程において、分化誘導4日目以降にrac1遺伝子の発現低下(ノックダウン)が確認できた。adipo-rac1-KOマウス由来の前駆脂肪細胞では、油滴の形成を指標とした脂肪細胞への分化が有意に抑制されていることが明らかとなった。また、定量的RT-PCR法を用いて、脂質合成に関与する5種類の酵素(Acyl、Acc、Fasn、Scd1、Gpat1)の発現を検討したところ、いずれも、adipo-rac1-KOマウス由来の前駆脂肪細胞に分化過程において、発現の有意な低下が認められた。さらに、これらの酵素群の発現を制御している転写因子(PPARγ、C/EBPα、C/EBPβ、C/EBPδ、Srebp1c)の発現を検討した。その結果、いずれも、adipo-rac1-KOマウス由来の前駆脂肪細胞に分化過程において、発現の有意な低下が認められた。さらに、3T3-L1株化細胞の分化誘導系においても、Rac1が脂肪細胞への分化に重要な役割を果たしていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子組み換えマウスの解析を進めたところ、当初予期していなかった結果が得られたので、新たな実験計画を追加する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画には含まれていなかった転写因子を介する遺伝子発現制御機構の解析を進めることにした。
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Causes of Carryover |
遺伝子組み換えマウスの解析を進めたところ、当初予期していなかった結果が得られたので、新たな実験計画を追加する必要が生じた。これらの研究は2022年度中に完了させることができなかったので、2023年度に引続き経費の執行が必要となった。2023年度中には、すべての計画が完了する予定である。
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Research Products
(4 results)