2023 Fiscal Year Annual Research Report
陸上植物において側生葉状器官の獲得を可能にした根幹原理の探索と解析
Project/Area Number |
20K06682
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 北斗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30610935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葉 / 発生 / 進化 / 多様性 / シロイヌナズナ / アンボレラ / 被子植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、被子植物において葉の獲得を可能にした分子機構を世界に先駆けて明らかにすることを目的とした。具体的には、これまでその詳細が全くの謎であった葉の獲得を可能にした分子機構を、進化学的観点から複数の植物を選択し、分子生物学的手法、インフォマティクスなどを駆使して明らかにする計画として本研究計画を申請した。 2022年度までに、現存する被子植物の系統樹の中で最基部に位置し、単葉を形成するアンボレラ(Amborella trichopoda)、そして同じく単葉で最も研究の進んだモデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の二種の茎頂と葉原基を用いてbulk RNA-seqを行ない、マーカー遺伝子の発現解析やgene co-expression networkの構築、それらの比較解析を行なった。 比較の結果、単葉をもつアンボレラとシロイヌナズナの2種の葉原基の遺伝子発現プロファイルは、系統的に離れた2種であっても、その基本的な部分に関しては類似していることが明らかになった。 最終年度である2023年度は、その類似した葉の発生に関わる遺伝子の獲得時期をphylostratigraphic解析により推定したところ、その多くの遺伝子の起源は植物が陸上に進出する以前に獲得されていたことが示唆された。このデータについては、国際共同研究強化(A)に採択されたため、University of California, DavisのNeelima Sinha教授の元で行なった。 以上のことから、アンボレラとシロイヌナズナの2種が属する被子植物における単葉の発生プログラムは、被子植物の基部において、その基本的な部分はすでに確立していたことが示唆された。また、被子植物の葉の発生に関わる遺伝子の多くは、葉の獲得よりも以前にすでに存在していたことが示唆された。
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