2023 Fiscal Year Research-status Report
MAFFT多重配列アラインメントプログラムの機能拡張
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20K06767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 和貴 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (70378868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノムアラインメント / 行動分析 / T細胞受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
* ハーバード大学 Scott Edwards教授らによる絶滅種モアのゲノム計画のために、モアと現生種シギダチョウの間の染色体全体程度の長さのグローバルアラインメントの計算を支援した。成果を記述した論文は、2024年4月にScience Advances誌に受理された。 * 一般的な文字列のアラインメントを計算するオプションを実装し、生物学を離れた応用を試みた。ボードゲームを用いた行動学的分析のために改造したプログラムを、ノーステキサス大学 April Becker博士らに提供した。 * 哺乳類の適応免疫系において、T細胞受容体遺伝子とIG遺伝子は、V(D)J遺伝子再構成によって高度な多様性を実現する。ゲノム上の多数のV,D,J遺伝子を特定することは、通常の遺伝子発見アルゴリズムには困難であり、手作業が必要である。そのため、この領域が正確にアノテートされた生物種は少ない。このことは、これらの遺伝子のゲノム上の分布に基づく進化学的議論を困難にしている。ヒトまたはマウスのV(D)J遺伝子とそれ以外の哺乳類のゲノムのローカルアラインメントにもとづいてこれらの遺伝子の位置を推定する時、スコアの閾値が問題となる。適切な閾値は、リファレンスとして利用する生物種とどのくらい近縁か等の要因によって異なるはずである。既存のアノテーションを教師データとした機械学習によって適切な閾値の決定を試みた。公表されているウシのゲノム配列において見落とされているかもしれないいくつかのTRGJ遺伝子が見つかったので、大学院生の Zhou Hao氏が実験的に検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進展はあるものの方向が予定と異なる。
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Strategy for Future Research Activity |
T細胞受容体だけでなく免疫グロブリンを高度する領域のアノテーションも試みる。T細胞受容体に比べて、生物種によってV(D)J遺伝子の並びの違いが大きいなどの困難な点が予想される。まず、配列上の類似性のみを用いた推定を試みた後、並びやシグナル配列を考慮に入れる。
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Causes of Carryover |
出張が予定より少なかったため。
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