2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of energy landscape based methods to detect early warnings of large compositional shifts in ecological communities
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20K06820
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 健大 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (00748999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物群集 / 微生物叢 / エネルギーランドスケープ / 多重安定性 / 最大エントロピー原理 / 変動予測 / マルコフネットワーク / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1) 微生物群集の組成データから群集動態の予測モデル構築・動態解析を行うための手法開発、2) 微生物群集の変動性を評価するための安定性指標の開発、3) 指標を使った群集の変動性の予測可能性の評価、を行いペアワイズ最大エントロピーモデル(マルコフネットワーク; 以下、モデル)に基づくエネルギーランドスケープ解析が群集生態学の強力な新手法となることを示すことである。 本年度は、1)の手法開発に集中して取り組んだ。開発には主に二つの課題があった。エネルギーランドスケープ解析では、観測データに基づきモデルのパラメータを推定する必要がある。一つ目の課題はこのパラメータ推定の手法についてである。微生物叢が環境から受ける影響を考慮する場合、モデルのパラメータ推定に標準的な手法を利用することができない。そこで、確率的な推移過程からパラメータを推定する効率的な手法を実装し、この問題を解決した。二つ目の課題は、エネルギーランドスケープの構造の把握と関係している。モデルが定義するエネルギーランドスケープは、例えば考慮する種数が20種の場合およそ100万のノードからなる重み付きネットワークとなる。エネルギーランドスケープ解析は、このような重み付きネットワークのポテンシャル構造の要約を目的とするが、ネットワークが巨大になると計算時間が増大する。この問題について、近似的な探索手法を導入することで解決した。 開発手法の信頼性を検証するため、微分方程式により個体群動態を記述したシミュレーションモデルを構築、仮想データを生成しベンチマークを実施した。ベンチマークの結果、開発手法はシミュレーションモデルが持つポテンシャル構造を少ないデータから十分正確に、かつ速やかに推定できる実用的な手法であることが言えた。この結果をすでに執筆中であった論文に含めて改訂し、学術誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、生物群集動態の予測モデル構築・動態解析の基盤となる手法を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二つ目の開発項目として、エネルギーランドスケープを利用した生物群集の安定性指標の開発・評価に取り組む。また、生物間相互作用のスパース性を考慮し、パラメータ推定手法の改良を行う。さらに、これまでの開発内容を整理・統合し、汎用的な解析パッケージの開発・公開を行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行で予定していた学会参加がキャンセル、またはオンライン参加となったため。2021年度に請求した助成金と合わせ、論文のオープンアクセス化など有効な情報発信のために使用したい。
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Research Products
(5 results)