2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of energy landscape based methods to detect early warnings of large compositional shifts in ecological communities
Project/Area Number |
20K06820
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 健大 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 開発研究員 (00748999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物群集 / 微生物叢 / エネルギーランドスケープ / エネルギー地形 / 多重安定性 / 最大エントロピー原理 / 早期警戒シグナル / レジームシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)微生物群集の組成データから群集動態の予測モデル構築・動態解析を行うための手法開発、2)微生物群集の変動性を評価するための安定性指標の開発、3) 指標を使った群集の変動性の予測可能性の評価を行い、ペアワイズ最大エントロピーモデル(マルコフネットワーク; 以下、モデル)に基づくエネルギー地形解析が群集生態学の強力な新手法となることを示すことであった。 2022年度は、1)について前年度までの研究成果に基づく共同研究として、ウシのルーメンや海洋養殖施設における底質中の微生物叢、肝ガン患者の腸内細菌叢などを対象にデータ解析を行った。さらに、R言語ライブラリとwebチュートリアルを完成させ、手法のアクセシビリティの向上をはかった。2-3)については、エネルギー地形の構造をベースに定義した「安定状態エントロピー(stable state entropy)」が実際に微生物群集の大規模変動の前兆を捉えうることを示し、論文発表を行った。 期間全体を通じ、エネルギー地形解析について、パラメータ推定手法、状態空間の要約手法等の拡張・効率化を実現し、多種系群集の組成の環境に伴う安定性変化をデータ駆動的に研究するための基盤を構築した。さらに、開発手法に基づく共同研究を通じ、それが実際の微生物・生物群集研究において新知見につながる有効なデータ解析・モデリング手法であることを示した。特に課題としていた微生物群集の大規模変動の予兆シグナルについて、エネルギー地形に基づく新しい安定性指標の有効性を実証できた。以上は、エネルギー地形解析が群集生態学の強力な新手法となることを示す十分な成果であったと考える。本研究の成果に基づき、これまで生態学で扱われてきた低次元系の「レジームシフト理論」をエネルギー地形の観点から拡張したより一般的なレジームシフト論の体系化と普及がこれからの課題と考える。
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Research Products
(6 results)