2021 Fiscal Year Research-status Report
小胞体―細胞膜オルガネラ接合部のCa2+が神経可塑性、発生分化に及ぼす役割
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20K06864
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
御子柴 克彦 東邦大学, 理学部, 特任教授 (30051840)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IP3受容体 / カルシウムイオン / てんかん / アストロサイト / ミクログリア / ミエリン形成 / Tet1 |
Outline of Annual Research Achievements |
癲癇発作は大きな脳障害を示す。ミクログリアの活性化が最初に起きて、TNFアルファ、IL1ベータが分泌される。これがアストロサイトを活性化して反応性アストロサイトに変換してアストロサイトのIP3受容体2型依存的Ca2+活動亢進が痙攣発作の直接の原因となる。発症の時期の各細胞を標的として捉える治療薬の開発が重要となる(JCI 2021)。IRBITはIP3受容体に結合してIP3により放出される分子として我々が発見したが、イオンバランスの制御に関してIRBITとlong-IRBITは協力してCl-/HCO3- exchanger AE2活性を調節していることを解明した(Sci. Reports 2021)。小胞体での蛋白質分解に関与するERADの成分でシャペロンのDerlin-1,-2は生後の脳の発達と運動機能に必須であった(iSccience 2021)。記憶、学習におけるアストロサイトの1、2、3型の働きの理解が難しかったが、各発現量と局在、各IP3受容体から如何にCa2+が放出されるかが重要である事を紹介して将来展望を述べた(Frontiers in Cell. Neurosci. 2021)。Ten-eleven Translocation 1を介するDNAのヒドロメチレーションが脳のミエリン形成に必要である事を示した。転写因子がミエリン形成の構成タンパク質制御に関与することを示した(Nat. Commun. 2021)。IP3受容体は細胞のアポトーシスに関わる。Anti-apoptotic 蛋白質であるBcl-XLがIP3受容体の阻害剤として働きアポトーシスに抵抗することを示した(CDD 2021)。解糖系の重要な酵素であるpyruvate kinase M2がIP3受容体に結合してCa2+シグナル系を調節する事を示した(BBA-MCR. 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のCOVID-19及びその変異型によるパンデミックが抑えれらて我々の活動が可能となってきた。その為研究者自身の移動の制限が解除され始め、通常の実験に必要な試薬類の購入や、各種実験機器の調整が次第に可能となり申請者の研究活動を大きく展開することが可能となってきている。 これ迄の研究計画が確実なものとなるように進めてきた事も幸いして、非常に効率よく課題が遂行されており、多くの成果が出ている。 最近IP3受容体が正常のみならず、がん、神経変性症、老化、認知症、運動失調、精神神経疾患などの病気を含む生命現象の様々な局面で重要な働きをしていることが明らかとなった。研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスによるパンデッミックに対する国の方針に従い研究を進めてきた。すなわち、実際の行動に制限があっても、試薬調達の為のルートの確保、実験機器の調整や、修理も考慮した企業との連絡網の確保に常に目をやりながら、新しい実験セットを組み上げて来た。今後パンデミックが解除された現在これから研究を大きく展開して行く予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度はCOVID-19及びその変異型によるパンデミックのために為に、国からの外出制限の指示が出るなど、研究代表者自身の中国-日本間の移動が制限されていた。それに伴って、東邦大学においては、通常の実験に必要な試薬の購入や、各種実験機器の調整のために企業側の十分な動きが確保されず、その結果、研究代表者の研究活動が大きく制限され、次年度使用額が生じた。2021年度の未使用額と2022年度の配分金額については、物品の購入(試薬・消耗品等)、研究打ち合わせのための旅費、論文発表のための費用(論文投稿料・英文校正料・印刷費等)、共同研究のためのサンプル発送費用に使用する予定である。
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