2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigations for functional roles in Slitrk1 for the projection of monoaminergic neurons
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20K06927
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 実 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50443007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ノルアドレナリン作動性神経 / 軸索誘導 / 血中酸素飽和度 / 呼吸 / 青斑核 / 縫線核 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はSlitrk1欠損マウスの低酸素下および高二酸化炭素環境下における呼吸に関する実験を実施した。実験はイソフルラン麻酔下で、呼吸数と血中の酸素飽和度(SpO2)をパルスオキシメーターにより測定することでおこなった。その結果、Slitrk1欠損マウスは、呼吸数に統計学的に有意な差違を見いだした。それに加えて、心拍数についても、高二酸化炭素環境において野生型とは異なる応答を示す事が明らかになった。しかしながら、呼吸や心拍に関連すると思われる縫線核のセロトニン神経について、免疫染色による組織学的な検討を試みたが、現在染色性に差は検出できていない。
それに加えて、ノルアドレナリン作動性神経の青斑核からの軸索誘導に関わる分子の同定について、前頭前皮質における各種誘引分子、反発因子などについて発現量を定量的PCRをおこなった。その結果、複数の因子について統計学的に有意な発現量の変化が認められた。そのうちの一つについて、生後0日目の仔由来の脳スライスから青斑核領域を分散培養した初代培養神経にたいして、この分子を培地に添加する実験をおこなった。評価方法としてチロシン水酸化酵素およびノルアドレナリントランスポーターに二重陽性のニューロンの形態を、その突起の総延長、および細胞体を中心とする同心円に交差する突起数(Sholl解析)を指標とした。その結果、突起伸長と枝分かれの双方に影響を及ぼす事が明らかとなった。このことから、今回同定した分子は青斑核のノルアドレナリン作動性神経に対する軸索誘導に関わる分子であることが推察される。現在、この分子の受容にSlitrk1が関与する可能性について検討をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
呼吸に関する新しい表現型を発見することができた。縫線核など、中枢レベルにおける異常に関する解析は十分ではないが、現在、投稿準備を進めている論文に続く研究テーマを見いだすことにつながったと考えている。 それに加えて、ノルアドレナリン作動性神経の軸索誘導に関する分子を見いだすことができたため、論文の質を高めることにつながると考えている。一方で、今後の進展を早めるため、誘導分子発見を目指した遺伝子発現の網羅的解析については現状で優先順位が低下したと考えている。このことは派生的に遺伝子欠損マウスに生じている未知の脳の異常について見逃す可能性も否定できない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は速やかな論文発表へ向けて共著者への回覧を含めた完成度の向上を目指す一方、査読への対応などもおこなう必要が出てくると考えている。 これまでの研究により見いだした誘導分子について、現状では初代培養による実験結果のみであるため、多面的な検証が必要になると考えられる。過去の文献などからモデル化した培養細胞などの他、生化学的な側面など傍証をかため、論文へ盛り込むことを計画している。
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Causes of Carryover |
値引きなど、端数処理に伴う差額
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