2020 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫克服を目指した共有結合性官能基含有治療薬の開発研究
Project/Area Number |
20K06939
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中山 淳 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60743408)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロライド / 多発性骨髄腫 / 医薬化学 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎えた日本にとって、加齢とともに罹患リスクが高まる多発性骨髄腫の克服は急務の課題である。本研究では、研究実施者が独自に見出した新規マクロライド型多発性骨髄腫治療シード分子の詳細な生物学的作用メカニズムを解き明かし、多発性骨髄腫治療における創薬標 的情報を提供する。さらに、有望治療候補化合物のプロドラッグ化を行うことで潜在的な毒性軽減、安定性向上を試みる。これらを実現することで新規治療薬を開発し多発性骨髄腫治療薬の克服を目指す。 令和二年度は、新規マクロライドcompound#13の細胞内標的タンパク質を明らかとするための分子プローブ合成に取り組んだ。Compound#13は標的分子に共有結合することが予想されるため、細胞内で作用したのちに、タンパク精製用リンカーと連結し、タンパク精製と電気泳動による分離を行うことで標的タンパク質を釣り出すことを計画した。タンパク精製用リンカーとの連結をClick反応で行うために、生物活性に大きく影響を及ぼさないと考えられる芳香環部メトキシ基を変換し、アルキン側鎖を導入することを計画した。これまでに確立した全合成経路を基盤とし、初期段階で導入していたメトキシ基部分を保護基でおき変えた基質を合成し、14員環マクロライド構造の構築を検討した。その結果、閉環メタセシス反応を用いることで14員環構造の構築に成功した。一方で、反応点とは遠い箇所にある芳香環メトキシ基を別の残基に変換すると閉環メタセシス反応により生じる二重結合異性体の生成比が大きく変化することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規マクロライドcompound#13の合成経路は、申請者が確立した天然マクロライドLL-Z1640-2の不斉全合成経路を基盤としており、特徴的な14員環マクロライド構造は閉環メタセシス反応によって構築していた。しかしながら、芳香環部分に天然物と同じメトキシ基以外の残基が存在すると閉環メタセシス反応生成物の生成比が大きく変わることが明らかとなり、当初予定していた供給量に達することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立している経路に加えて、より選択的にcompound#13を得られる合成経路を検討している。すなわち、生じてくる二重結合の選択性が不安定である閉環メタセシス反応ではなく、選択的に二重結合の幾何異性を制御したクロスカップリング法を用いることでcompound#13及び芳香環メトキシ基をアルキンへと変換した分子プローブの合成を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初予定していた動物実験を十分に行うことができなかった。また各種学会の現地開催中止等により大幅に研究費使用計画に変更が生じた。令和三年度では、令和二年度で行うことができなかった動物実験に加えて、試験化合物の大量供給を行うため、物品費の増加を見込んでいる。
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Research Products
(8 results)