2022 Fiscal Year Research-status Report
Pathogenesis-based therapeutic approaches to chemotherapy-induced peripheral neuropathy
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20K07027
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
高久 静香 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 研究員 (50383013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三五 一憲 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, プロジェクトリーダー (50291943)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 末梢神経障害 / 抗がん剤 / ニューロン / シュワン細胞 / 共培養 / ミエリン形成 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤の副作用として「しびれ、痛み、感覚低下、歩行異常」などの末梢神経障害が出現する頻度は高く、患者のQOL低下の要因ともなり、また難治である。抗がん剤の種類によって、障害される部位が軸索、神経細胞体、髄鞘と大別されるが、そのメカニズムは充分に解明されておらず、成因に基づく根本的治療法も確立されていない。 また、進行・再発の大腸がんに対して汎用されるオキサリプラチン(L-OHP)は脊髄後根神経節(DRG)内の感覚ニューロン細胞株に直接毒性を示すことが報告されているが、その細胞障害メカニズムは明らかになっていない。 そこで本研究では初代培養ラットDRGニューロン、株化DRGニューロンND7/23、株化シュワン細胞IFRS1を用いて、L-OHPによる細胞死誘導機序を解明中である。 一方、末梢神経障害を予防・緩和するサプリメントや漢方薬など使用されている。しかしながら、いずれも根本的治療法ではなく、予防・緩和に充分な効果を発揮しているとは言い難い。 そのため、本研究ではDRGニューロン-IFRS1シュワン細胞共培養にL-OHPを投与することにより、ミエリン構造や神経ネットワークが変性していることを観察し、それらの障害がてんかん・パーキンソン病治療薬ゾニサミドにより軽減されることを確認している。さらに、臨床に応用できる様、ゾニサミドを前投与あるいは同時投与をして末梢神経障害の緩和を想定し検討している。また、シグナル伝達経路の阻害剤を用いて、L-OHPによるDRGニューロン死誘導機序を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗がん剤L-OHPを初代培養ラットDRGニューロン、株化DRGニューロンND7/23、株化シュワン細胞IFRS1さらに、初代培養ラットDRGニューロン-シュワン細胞IFRS1共培養系に添加し、細胞毒性の比較(時間経過など)や細胞内シグナル系の変化を確認している。 1)L-OHPは濃度依存的にニューロンやシュワン細胞の細胞死を誘導し、ニューロンに対する毒性が強いことを明らかにした。2)L-OHPによる細胞死誘導にはp38MAP kinaseのリン酸化亢進が関与することを明らかにした。3)「末梢神経病変に対するゾニサミドの有用性・ドラッグリポジショニングの可能性」についてDRG初代培養ニューロン-シュワン細胞共培養に薬剤投与を行い検討した。抗がん剤投与による神経線維の変性やシュワン細胞の神経線維からの脱落がゾニサミドの前投与により抑制される傾向が観察された。4)株化感覚ニューロンへの抗がん剤投与、またゾニサミドによる神経毒性緩和をリピドーム解析を行い、現在検討中である。 これらの結果は、2022年に開催された第95回日本生化学会大会シンポジウムにて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)抗がん剤はL-OHPの他、白血病、小児腫瘍などに処方されるビンクリスチンや多発性骨髄腫およびマントル細胞リンパ腫に処方されるボルテゾミブがあるのでL-OHPと同様に各種細胞に投与し、細胞の毒性を検討する予定である。 2)各薬剤を成熟ラットに経口もしくは腹腔内投与し、神経組織(脊髄、DRG、坐骨神経)の病理変化を観察する。 3)リピドーム解析の結果より各薬剤による障害メカニズムを分子レベルで詳細に検討する。
将来、臨床応用できるよう抗がん剤による神経障害のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の為、培養に必要な機器の購入が困難であり、一部、予定していた計画通りに進められなかったので次年度使用が生じた。現在は購入可能になり未使用額を併せて、今年度は研究を進めるため研究補助員を雇い、研究のスピードアップを計画している。また、国際学会の発表も予定している。
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Research Products
(8 results)