2022 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質における時空間特異的なリーリン作用機構と意義の解明
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20K07051
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河野 孝夫 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (70581742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リーリン / 大脳皮質 / 樹状突起 / モータータンパク質 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に同定した浅層神経細胞膜直下に豊富に存在するタンパク質のうち、ミオシンVa(Myo5a)に着目し研究を行った。Myo5aはアクチン上を移動するモータータンパク質の一つであり、その変異は精神発達遅滞やてんかんを呈するグリセリ症候群を引き起こす。しかし発生期大脳皮質における、その重要性は未解明である。樹状突起発達におけるMyo5aの重要性を明らかにするために、培養神経細胞にMyo5aのドミナントネガティブ変異体(DN-Myo5a)を過剰発現させた。その結果、DN-Myo5aを発現させた神経細胞では、神経突起の発達が著しく悪く、樹状突起の長さが短くなることがわかった。また、子宮内電気穿孔法を用いて大脳皮質浅層神経細胞にDN-Myo5aを発現させると、その最終配置が異常となることもわかった。これらの結果から、Myo5aは浅層神経細胞の形態や移動に重要な役割を持つことが示唆された。 また、リーリンタンパク質の脳内投与が、リーリン欠損マウスやリーリンC末端領域欠損マウスの脳構造異常を回復するかを検討した。胎生後期から生後初期にかけて、様々なタイミングでリーリンを投与したが、いずれの場合おいても脳構造の回復は見られなかった。一方で、リーリン欠損マウスの生後小脳へリーリンを投与した際、前足の協調性運動が改善されること、局所的にプルキンエ細胞層が形成されることを見出した。リーリン欠損マウスの小脳神経細胞は、生後においてもリーリンに反応する能力を持つことを示す。これらの実験結果をまとめ、論文として発表した(Ishii et al., Neurosci. Res., in press)。
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Research Products
(11 results)