2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on practical use of personalized targeting therapy in cancer using pharmacogenomic information and TDM
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20K07130
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30447867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
齋藤 佳菜子 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90447871)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がんゲノム医療 / 治療薬物濃度モニタリング / 生理学的薬物速度論解析 / 分子標的治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の薬物血中濃度測定系の構築について、慢性骨髄性白血病に使用されるTKIであるイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、肺がん治療に用いられるエルロチニブのの薬物血中濃度測定について、LC-MS/MSを用いて構築した。測定精度については、「医薬品開発における生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン」に基づき評価し、何れの薬物の測定系についても、検量線用標準試料の各濃度の真度および制度は理論値の±15%であった。 また、抗体医薬品の薬物血中濃度測定系については、抗体医薬品の血清中濃度は、サンドイッチELISA法にて測定した。2020年度は、抗体医薬品であるセツキシマブ、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ、ペムブロリズマブについて測定系を構築した。標的分子であるEGFRまたはPD-1をマイクロプレートに固相化し、その後、3%アルブミンでブロッキングを行う。血清希釈した抗体医薬品の標準液または患者血清をPBSにて10,000倍に希釈し、プレートに添加する。HRP標識した抗IgG1抗体を反応させた後、HRP基質を添加して一定時間反応させた。最後に1 M硫酸を加えて反応を停止し、マイクロプレートリーダーで450 nmの吸光度を測定した。すべての薬物について良好な検量線を取得した。 さらに、ダサチニブのPBPKモデルについて、文献またはインタビューフォームからclogP、F、fe、fu,p、Rb等の薬物血中濃度の情報を収集し、残渣法によりV1、ka、kel、k12、k21について初期値を算出し、コンパートモデル解析にて各種パラメータのフィッティングを行った。求めた各種パラメータをPBPKモデルに適用しフィッティングを行い、PBPKプロトタイプを作成してDDI Simulator V.2.6に実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LC-MS/MSを用いたチロシンキナーゼ阻害剤の薬物血中濃度測定、サンドイッチELISA法を用いた抗体医薬品の薬物血中濃度の測定、PBPKモデルの実装について、特定の薬物について構築することができ、次年度の研究に向けての準備状況としては順調と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
LC-MS/MSを用いたチロシンキナーゼ阻害剤の薬物血中濃度測定について、がんゲノム遺伝子パネル検査にて検討される頻度の高い、mTOR阻害薬、PARP阻害薬にいても測定系を確立させる。サンドイッチELISA法を用いた抗体医薬品の薬物血中濃度の測定については、PD-L1阻害薬についても構築を試みる。PBPKモデルの実装についても、チロシンキナーゼ阻害薬、PARP阻害薬、mTOR阻害薬について作成し、臨床試験のデータと照合し、予測可能かどうか評価する。また、PBPKモデルによる動態予測を利用した臨床研究のプロトコルについて、倫理委員会に提出し、承認を得る。
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Causes of Carryover |
研究は概ね良好に進んでいるが、一部、薬物血中濃度の測定について予定よりも遅れたため、次年度にその試薬費用を持ち越すことにした。
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