2022 Fiscal Year Research-status Report
胎盤移行性および胎盤機能を指標とした抗不安・睡眠薬のリスク評価
Project/Area Number |
20K07149
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古堅 彩子 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (90767261)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗不安・睡眠薬 / 胎盤 / trophoblast |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤は、物質輸送、ホルモン分泌、分化能等の多彩な機能を有しており、胎児の発育・妊娠の維持に関与する。これら機能には、胎盤におけるtrophoblast細胞が重要な役割を担う。本研究は、抗不安・睡眠薬の移行性を明らかにするとともに、trophoblast機能への影響について評価することを目的とする。 本課題では、「I. 胎盤移行性の違いと規定因子の解析」、「II. 物質輸送能に及ぼす影響の評価」、「III. ホルモン分泌能・分化能に及ぼす影響の評価」について計画している。 前年度は、ヒト胎盤絨毛癌由来細胞株 (BeWo細胞) を用いて、特にBenzodiazepine (BZ) 受容体作動薬に着目し、IおよびIIIの課題について検討を進めてきた。BeWo細胞は癌細胞由来であるため、本年度は、正常細胞における評価として、近年樹立が報告されたヒト胎盤幹細胞を用いた検討を進めた。既報に基づいた培養条件において、syncytiotrophoblastへの分化をマーカー (ERVW-1, ERVFRD-1, GJA1, CGB, CSH, SLC1A5, MFSD2A, ABCC4) の発現変動により確認した。また、ヒト満期胎盤、BeWo細胞、および幹細胞由来syncytiotrophoblastにおける各分化マーカーの発現比較も実施した。さらに、本細胞を用いて、薬剤による各種分化マーカーの発現変動に関する評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、BZ以外の睡眠薬に関する検討や「Ⅱ. 物質輸送能に及ぼす影響の評価」について進める予定であった。しかし、産前産後および育児休暇の取得により数カ月の研究の中断があったため、当初の計画よりやや遅れが生じた。復帰後より研究を再開したことから、引き続き課題に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
「I. 胎盤移行性の違いと規定因子の解析」の計画として、正常細胞を用いて抗不安・睡眠薬の細胞内蓄積量と各種物性との関連性について解析を進める。また、BZ以外の睡眠薬として、オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬のtrophoblastへの移行に担体の関与があるか否か評価を進めていく。「Ⅱ. 物質輸送能に及ぼす影響の評価」についても、妊娠期に重要な栄養素の輸送に抗不安・睡眠薬が及ぼす影響を評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
産前産後および育児休暇の取得により研究の中断が生じたため、次年度使用額が生じた。実験のための消耗品は継続して必要であることから、主に物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)