2021 Fiscal Year Research-status Report
抗がん薬の作用メカニズムにおけるPARPと活性酸素シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20K07210
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
水谷 秀樹 金城学院大学, 薬学部, 教授 (80397504)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PARP阻害薬 / アントラサイクリン系抗がん薬 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
PARP (poly ADP ribose polymerase) は細胞内に存在する酵素であり、損傷したDNA鎖を修復する。このPARPを分子標的とし、阻害するPARP阻害薬の有用性が、がん治療において確認され、日本でもがん治療薬として承認されている。PARP阻害薬は分子標的薬であり、従来の抗がん薬と比べ副作用が少ないと期待されており、現在数多くのPARP阻害薬が合成・開発されている。通常、PARP阻害薬は特定のDNA修復異常を示すがんに有効であるが、PARP阻害薬と従来の抗がん薬を併用することも有効であると考えており、抗がん薬の作用機序におけるPARPと活性酸素種 (reactive oxygen species: ROS)、並びに抗がん薬とPARP阻害薬との関係を明らかにすることが本研究課題の目的である。今年度は、抗がん薬としてアントラサイクリン系抗がん薬のPirarubicin (THP)を用い、THPの細胞毒性に対するPARP阻害薬の影響を検討した。 PARP阻害薬としてOlaparibを用い、細胞としてヒト前骨髄性白血病細胞HL-60を使用した。細胞生存率はPI (propidium iodide)を用い、Tali Image-Based Cytometer (Invitrogen) で測定した。細胞死のマーカーとして、ミトコンドリア膜電位、細胞内ROS、Caspase-3/7活性を測定した。 THP(濃度:0.5, 1.0, 2.0, 5.0, 10 μM;反応時間:4 h)は、HL-60細胞に対し細胞生存率を低下させ、この低下はOlaparibの影響を受けなかった。一方、THP(濃度:0.05, 0.1, 0.2, 0.5 μM;反応時間:24 h)は、HL-60細胞に対し細胞生存率を低下させ、この低下はOlaparibにより抑制された。また、THPによるミトコンドリア膜電位の低下もOlaparibによって抑制された。さらに、細胞内ROSの上昇、Caspase-3/7活性の上昇についてもOlaparibにより抑制された。Olaparibによる効果は、Olaparibがミトコンドリアに対する保護作用を有するものであると考えられるが、さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、実験ができず研究の進行に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、PARP阻害薬がOlaparibのみで、アントラサイクリン系抗がん薬もPirarubicinのみの検討であったので、来年度は他の化合物についても検討したい。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、実験ができず研究の進行に遅れが生じた。また、学会がオンライン開催となり、旅費が不要になった。 次年度では、実施できなかった実験の試薬や器材の購入、さらに学会出席旅費などに使用したい。
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