2021 Fiscal Year Research-status Report
脂質性二次伝達物質代謝・産生酵素の組織分布と細胞内局在に関する形態学的機能解析
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20K07238
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
八月朔日 泰和 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (00372334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 究 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (90400481)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホスホリパーゼD / 特異抗体 / 免疫組織化学染色 / 免疫細胞化学染色 / スプライスバリアント / 細胞膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度はPLD1・PLD2の脳内組織発現と細胞内局在解析、PLD1・PLD2の脳内発現および局在変化を生じる分子や刺激の探索、PLD1・PLD2の末梢臓器における組織発現と細胞内局在解析を行なった。 1)ニューロンおよび培養細胞におけるPLD1・PLD2の細胞内局在解析:特異抗体を用いた免疫組織化学染色法にてニューロンにおいてPLD1とPLD2は細胞質に局在していた。細胞内局在のさらなる検討のため、PLD1とPLD2を発現する培養細胞を検索した。RT-PCR法にてNIH3T3細胞と3T3-L1細胞にPLD1とPLD2の発現が認められた。PLD1とPLD2にはそれぞれa型とb型のスプライスバリアントが報告されているが、いずれの細胞でもPLD1a, PLD1b, PLD2bの発現が確認され、PLD2aは検出限界以下であった。またいずれの細胞でもPLD1についてはPLD1bが優位に発現していた。特異抗体を用いた免疫細胞化学染色ではPLD1とPLD2の免疫反応は細胞膜上またはその近傍、細胞質に点状に認められた。細胞分画法と免疫細胞化学染色法による検討の結果、PLD1とPLD2は無刺激の細胞において核にほとんど局在しないことが明らかとなった。 2)PLD1・PLD2の脳内発現および局在変化を生じる分子や刺激の探索:両者を発現するNIH3T3細胞と3T3-L1細胞に、有糸分裂期で細胞周期を停止させるNocodazoleを作用させて局在変化を解析したが、細胞内局在に変化を認めなかった。 3)PLD1・PLD2の末梢臓器における組織発現と細胞内局在解析:末梢臓器におけるPLD1およびPLD2のスプライスバリアント発現パターンをRT-PCR法で解析した。培養細胞とほぼ同様の結果であったが、心臓では他臓器と異なりPLD1aが優位に発現しており、PLD1aの心臓における特異な機能が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究計画では、以下の目標を挙げた。 PLD1・PLD2の脳内発現および局在変化を生じる分子や刺激の探索【令和3年度】 PLD1・PLD2の末梢臓器における組織発現と細胞内局在解析【令和3年度および4年度】 本年度に関して申請者は自ら確立した特異抗体を用いた免疫細胞化学染色法により、培養細胞においてPLD1およびPLD2が細胞膜上あるいはその近傍、細胞質に局在することを明らかにした。またマウス末梢器官におけるPLD1およびPLD2のスプライスバリアントの発現パターンを明らかにし、マウス心臓においては培養細胞および他臓器と異なる発現パターンを見出した。以上より、当該課題の「研究の目的」に対する達成度は、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は以下の点につき解析を行う。 1)PLD1・PLD2の中枢神経系および末梢臓器における組織発現と細胞内局在解析【令和3年度からの継続】 ● 蛍光多重染色法による解析(共焦点レーザー顕微鏡): PLD1とPLD2のマウス脳と末梢臓器および培養細胞における細胞内局在について、蛍光多重染色により発現局在解析を進める。 ● 免疫電子顕微鏡法による解析:包埋前(DAB・銀増感)および包埋後免疫電子顕微鏡法により、PLD1・PLD2の神経細胞内微細局在の解析を行う。 2)PLD1・PLD2の脳内発現および局在変化を生じる分子や刺激の探索【令和3年度からの継続】:カイニン酸注入や虚血刺激によるPLD2のマウス脳内発現量や神経細胞内局在の変化を特異抗体で確認する。さらに、PLD1とPLD2の発現や局在変化を生じる新規分子や刺激の探索を行う。 3)DGKおよびPLDのシグナル伝達複合体の解明:脳タンパクを抽出し、DGKgamma・DGKiotaおよびPLD1・PLD2の特異抗体で免疫沈降法を行う。得られた免疫複合体にイノシトールリン脂質代謝関連分子が含まれるかウェスタンブロット法で解析するとともに、質量分析などによる結合分子の特定を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度の物品購入において直接経費所要額の約0.8%相当の残金が生じた。次年度に使用する。
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