2021 Fiscal Year Research-status Report
Androgen-receptor signals and cell specific epigenetic regulatory mechanisms in elderly diseases
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20K07350
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
高山 賢一 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (50508075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アンドロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
アンドロゲンの組織、細胞特異的な核内作用の差異、エピゲノム制御機構は未だ未知である。本研究では主に次世代シークエンサーを用いた細胞、組織特異的な アンドロゲンシグナルの解析を通して新たなARの核内作用を見いだすことを目的とする。本年ではヒトの男性下肢筋肉より採取し樹立された筋肉細胞(筋肉衛星細胞)を用いた解析を行った。 まずア ンドロゲン刺激の有無でandrogen receptor (AR)の特異抗体を用いてWestern blotにより発現を確認した。またクロマチン免疫沈降法を用いてARの結合DNAの濃 縮を行い、シークエンス解析を行った(ChIP-seq). ヒトゲノム上にmappingを行い有意な結合部位を同定した。また転写を活性化するエピゲノムマーカーであるヒストンアセチル化部位と有意にoverlapしていた。また結合 部位には特異的な他の転写因子群の結合モチーフが濃縮しており、これまで解析した前立腺とはことなる転写因子コンプレックスの形成が予想された。IP- Western法、qRT-PCR法などにより細胞内でのARの結合パートナーを同定した。さらに下流シグナルについてマイクロアレイ、RNA-sequenceなどによる遺伝子発現 を解析した。加えてARの結合パートナーとなる転写因子の制御により筋肉の分化、およびアポトーシスや細胞老化に影響を与えることを見出した。またChIP-seqによる解析により細胞内でのゲノム中の結合部位もARと重なることを見出した。 また別のヒト筋肉細胞系においては筋肉への分化系を確立し、アンドロゲン依存的に分化マーカーや筋束の形成が変化することを見出した。今後の研究に有用と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたChIP-seq, RNA-seqなどの解析を遂行しており細胞分化などの解析につなげている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの蓄積したデータを基盤として論文に繋がるように解析を進める。具体的には骨芽細胞におけるARの機能については骨の分化マーカーを指標に細胞染色、遺伝子発現マーカーの動きを定量的に解析する。同定したARの制御因子やエピゲノムマーカーによりこれらの骨の分化に与える影響を中心に解析する。また細胞株を増やし他の細胞株においても同様な現象が見られるか解析する予定である。一方筋肉についてはデータが出揃いつつあり最終的な論文構成を考えつつ不足するデータを補う。細胞分化、増殖においける転写因子の結合ネットワークや下流遺伝子の発現制御機構を中心に解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは解析に使用する試薬類などの節約により新たな試薬購入費用が削減されたことが挙げられる。次年度には学会参加費や論文投稿に向けた本研究計画の実験の追加が予想されるため次年度の実験費用に当てることで使用予定である。
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