2022 Fiscal Year Annual Research Report
トランスゴルジ膜が担う新たな細胞機能GOMEDの解析
Project/Area Number |
20K07353
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
荒川 聡子 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (90415159)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GOMED / ゴルジ体 / 鉄 / セルロプラスミン / プルキンエ細胞 / 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴルジ体は小胞体から輸送されたタンパク質に、糖鎖修飾やリン酸化修飾などを加え、細胞外や細胞膜、リソソームへと輸送する。この過程が滞ると、ゴルジ体を用いた分解GOMED (Golgi Membrane Associated Degradation)が起きることを我々は発見した。このGOMED機構は、酵母から哺乳動物まで保存されており、タンパク質がゴルジ体において滞留したときに機能する。このとき(1)トランスゴルジの膜が大きく変形する、(2) 分解するタンパク顆粒やミトコンドリアを包み込む、(3)ライソソームと融合して分解する、という過程を経る。 我々は、本研究にてGOMEDに関わるHsv2遺伝子を酵母の解析により同定し、その哺乳動物の相同遺伝子であるWipi3を欠損させた細胞を作製した。この細胞を電子顕微鏡にて解析すると(1)ゴルジ体膜の形態が異常となり、GOMED時にみられるトランスゴルジ膜の分化が起きないことがわかった。(2)また超解像顕微鏡観察により、GOMED誘導前後で細胞質に散在するWipi3が、ゴルジ体の膜上に移動することが判明した。即ち、GOMED誘導時にはWipi3が細胞質からトランスゴルジ膜に移動し、その膜を変形させて基質を隔離することがわかった。 さらに神経細胞特異的Wipi3遺伝子欠損マウスを作製したところ、このマウスは運動機能に異常がみられたが、解析の結果(1)小脳のプルキンエ細胞が変性脱落、(2)脱落前の神経細胞ではゴルジ体の形態異常があり、(3)GOMEDが誘導されない。さらに(4)鉄および鉄輸送タンパク質セルロプラスミンが蓄積すること、(5)セルロプラスミンはGOMEDで分解基質でありこの分解不全により鉄沈着が起きることがわかった。以上より、(6)従来型オートファジーとGOMEDは、異なる機構で神経細胞を維持していることが確認できた。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Apoptotic extracellular vesicle formation via local phosphatidylserine exposure drives efficient cell extrusion2023
Author(s)
Kira A, Tatsutomi I., Saito K., Murata M, Hattori I, Kajita H, Muraki N, Oda Y, Satoh S, Tsukamoto Y, Kimura S, Onoue K, Yonemura S, Arakawa S, Kato H, Hirashima T, Kawane K.
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Journal Title
Dev Cell
Volume: in press
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access
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