2021 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における一次線毛の機能異常と臨床病理学的特性との連関
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20K07371
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内田 克典 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60362349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広川 佳史 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (30322738)
岸和田 昌之 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (40501961)
石井 健一朗 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (90397513)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一次線毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の新規増殖機構としての一次線毛と関与するEGFR/USP8/CRL3/Tricho/AurA経路を標的にして、膵癌における増殖制御機構への影響を解明し、分子標的薬などの開発の可能性を探る。加えて、正常膵導管細胞で広く観察される一次線毛の腫瘍細胞での出現、およびその出現と臨床病理学的因子との関係より膵癌に対する 化学療法、放射線療法の有効な指標になるかを明らかにすることを目指す。 前年度、術前治療を行った膵癌症例と術前治療を行っていない膵癌症例について一次線毛の有無の確認を行ったところ、術前治療なし群では一次線毛の出現は確認できなかった。一方術前治療あり群では治療によると思われる変性を有する癌細胞には一次線毛がみとめられたが、変性のない癌細胞には認められなかった。本年度は、非腫瘍性病変で切除された膵検体を用いて膵管上皮における一次線毛の出現状態を確認したところ、非腫瘍性膵管上皮では有意に一次線毛が増加した、また腫瘍のある膵切除検体の非腫瘍部分での一次線毛出現を確認したところ、非腫瘍性膵管上皮では有意に一次線毛が増加した。以上から術前治療(化学放射線療法)による一次線毛の制御が明らかとなった。 癌の増殖におけるEGFR/USP8/CRL3/Tricho/AurA経路の働きを解明するため、抗EGFR抗体に対する感受性が確認されている癌細胞株として、肺癌細胞株を選択し、抗EGFR抗体を投与し、一次線毛の出現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
膵癌の増殖におけるEGFR/USP8/CRL3/Tricho/AurA経路を手術検体を用いて評価を進めているが、リン酸化AurAおよびその下流のp27の評価方法が確立できていないため、複数の抗体をもちいて条件設定を行っている。リン酸化AurAは本経路のシグナル伝達を示す重要な根拠となるので、慎重に条件設定を行っている。 抗EGFR抗体に対する感受性が確認されている肺癌細胞株を用いてマウス移植モデルを作製したが、肺癌細胞株の壊死が強く、治療の有無を問わず一次線毛が出現していることが確認された。したがってマウス移植モデルは一次線毛制御確認には適切でないことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
癌の新規増殖機構としての一次線毛と関与するEGFR/USP8/CRL3/Tricho/AurA経路のUSP8、CRL3、Trichoについても治療の有無による変化を一次線毛と合わせて評価を行う。また同経路とは別の一次線毛と関与する経路にAKT/mTOR経路がある。前年度に一次線毛制御に係るAKT/mTOR経路について、コントロールとしてPTEN欠失前立腺癌検体を用いてリン酸化AKTの発現を確認しており、同様に膵癌におけるAKT/mTOR経路の関与について評価する。
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Research Products
(2 results)