2021 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性膵炎発症に関与するサイトカインのメチル化異常の解析と病理診断への応用
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20K07405
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上原 剛 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (80402121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 和之 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (00647084)
増本 純也 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (20334914)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / メチル化 / IgG4 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、自己免疫性膵炎(AIP)のIgG4 産生および線維化は被障害臓器のエピゲネティックな修飾によるサイトカインの発現異常によって生じていること、次に疾患特異的な共通のサイトカイン制御に関与するエピゲネティックな修飾を特定し、それらメカニズムに基づき、遺伝子発現レベルや蛋白発現レベルを解析することである。現在、様々な臓器でのIgG4 関連疾患が認識されるようになってきており、共通の分子基盤に立った線維化および炎症制御のメカニズムを解析する意義は大きい。これらの検討は、IgG4 関連疾患の原因究明、適切な診断の一助になるとともに、治療方法開発にもつながると考えられる。 AIPのIgG4産生および線維化関連サイトカインにおけるメチル化レベルの解析は、すでにいくつかのサイトカインに着目し、解析を行っているので、新たにAIPのIgG4産生および線維化関連サイトカインを制御する転写因子に着目し、メチル化レベルをメチル化アレイ解析結果から原因遺伝子候補を選択した。メチル化アレイ解析はAIPの炎症部、膵臓癌の閉塞性膵炎部、正常膵およびそれぞれの所属リンパ節に対して、DNAをマイクロダイセクションで抽出し、その後抽出されたDNAにbisulfite処理を行い、メチル化アレイ解析法である、イルミナ社のHuman Methylation 450 BeadChip を用いて行われた。症例は信州大学医学部附属病院および協力施設から収集した。数万の候補遺伝子をエクセル上で解析し転写因子の候補遺伝子をリスト化した。 正確なメチル化レベルを得るために定量的メチル化解析法である、定量Methylation Specific PCR(MSP)を用いて、原因候補遺伝子のメチル化レベルを解析するために症例を追加し、プライマー設計など行った。試薬などの準備も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 AIP症例の選択に関しては信州大学医学部附属病院で手術が行われ、AIPと診断されたた症例をレトロスペクティブに検索し、試料として用いることができた。また不足分に関しては近隣協力施設から、新規追加分の試料を提供の協力が得られ必要数を確保できた。 またAIPの線維化および炎症制御に関わるサイトカインに関連する転写因子産生細胞のメチル化レベルをアレイ及びメチル化定量法で計測する事に関しては、AIPの炎症部、膵臓癌の閉塞性膵炎部、正常膵およびそれぞれの附属リンパ節に対して、DNAをマイクロダイセクションで抽出し、その後抽出されたDNAにbisulfite処理を行い、メチル化アレイ解析法である、Infinium MethylationEPIC BeadChipの結果を用いて原因候補遺伝子を確定した。 さらにより正確なメチル化レベルを得るために定量的メチル化解析法である、定量Methylation Specific PCR(MSP)を用いて、原因候補遺伝子のメチル化レベルを解析できた。また免疫染色も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
症例追加を行いデータをさらに強固なものにして、再度メチル化アレイ解析を行い候補遺伝子を検索する。また定量Methylation Specific PCR(MSP)を用いて、線維化および炎症制御に関わる原因候補遺伝子(特に転写因子産生細胞)のメチル化レベルを解析する。 また線維化および炎症制御に関わる原因候補遺伝子の蛋白発現の有無を、タンパクに対するモノクロナル抗体を用いて免疫染色でAIPの炎症部、膵臓癌の閉塞性膵炎部、正常膵、リンパ節において確認する。原因候補遺伝子によって作られるタンパク質に対する抗原が免疫染色によって確認できればメチル化による影響を目視で確認可能となる。目的遺伝子に対する、免疫染色用の抗体が市販されていれば、それらを用いて免疫染色を行う。市販されているがん関連遺伝子に対する免疫染色用抗体は特異性の低い場合が多いので、染色がうまくいかない場合には、独自に原因候補遺伝子に対する抗体の作製を目指す。 原因候補遺伝子によって作られるタンパク質に対する抗原が免疫染色によって確認できればIgG4関連疾患の原因究明につながり、また病状の把握が可能となる。
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Causes of Carryover |
追加メチル化アレイ解析を行っていないので、使用額に差が生じているが、今後アレイ解析予定であり当初の予算を使用予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Diagnosing Biliary Strictures2021
Author(s)
Hori Yasuki、Chari Suresh T.、Tsuji Yoshihisa、Takahashi Naoki、Inoue Dai、Hart Phil A.、Uehara Takeshi、Horibe Masayasu、Yamamoto Satoshi、Satou Akira、Zhang Lizhi、Notohara Kenji、Naitoh Itaru、Nakazawa Takahiro
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Journal Title
Mayo Clinic Proceedings: Innovations, Quality & Outcomes
Volume: 5
Pages: 535~541
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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