2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of Hippo pathway in thymus
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20K07572
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西尾 美希 神戸大学, 医学研究科, 講師 (10467897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Hippo経路 / 胸腺 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸腺は、T細胞の分化・成熟に必須の器官であり、T細胞とそれを取り巻くストローマ細胞により構成される。ストローマ細胞の中では、胸腺上皮細胞がT細胞への抗原提示や分化・成熟に中心的役割を担う。これまで胸腺T細胞研究はかなり進んだが、胸腺上皮細胞の増殖・分化・機能制御は,まだ不明な部分が多い。胸腺上皮細胞が腫瘍化した胸腺癌の多くが進行癌で発見されることから、予後不良の腫瘍であり、希少癌であるがゆえにその原因も未だ殆ど不明である。一方、胸腺関連の腫瘍免疫担当細胞には、CD8+T細胞、Treg細胞、NKT細胞があるが、このうちNKT細胞の分化・機能に重要なシグナル経路は未だ十分解明されていない。Hippo経路は近年同定され、重要な腫瘍制御経路として注目を浴びている。これまでCD8+T細胞などの一般的なT細胞やTreg細胞に関する機能はいくつか報告されたが、NKT細胞や胸腺上皮細胞におけるHippo経路の研究報告は多くなかった。 そこで胸腺上皮細胞やNKT細胞におけるHippo経路の役割を、腫瘍発症や腫瘍免疫監視の観点を重視して解析し、MSTが変異したヒト病態の解明とともに、Hippo経路を標的とする抗腫瘍薬や免疫調節薬等にむけた創薬研究への礎をつくることを目的とした。 今年度は、胸腺上皮においてHippo経路分子の一つであるLATSが欠損すると早期に胸腺がを発症すること、NKT細胞におけてHippo経路分子の一つであるMSTが欠損すると成熟したiNKT細胞が著しく減少することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸腺上皮細胞におけるHippo経路の役割を解析するため、Foxn1-Cre Tgマウスを用いて、胸腺上皮特異的LATS欠損マウスを作製したところ、このマウスでは早期に胸腺癌を認めたため、T細胞の分化・成熟において中心的な役割を担う胸腺上皮でのHippo経路の解析が困難となった。そのため、K14Cre-ERT TGマウスを用いて、成体になって胸腺上皮特異的にLATSを欠損させるマウスの作製および、腎皮膜下移植の系の検討を始めた。 胸腺NKT細胞におけるHippo経路の役割を解析するため、Lck-Cre Tgマウスを用いて、NKT・T細胞特異的MST欠損マウスの作製したところ、iNKT細胞だけが著しく減少していたが、他のVαのレパートリー数の変化はみられなかった。この欠損マウスではiNKT細胞成熟過程においてstage3でアポーシスが亢進してしていた。また、MST欠損iNKT細胞細胞ではVa14/Ja18のDNA再構成はおきているものの、Va14/Ja18mRNAの発現量は著しく減少していることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
胸腺上皮細胞におけるHippo経路の役割に関して、K14Cre-ERT TGマウスを用いた胸腺上皮特異的LATS欠損マウスおよび腎皮膜下移植の系でのT細胞の分化・成熟における影響、および、樹立した薬剤誘導性LATS欠損胸腺上皮細胞株を用いて、細胞増殖・分化・未分化性・染色体不安定性変化や接触するT細胞に与える反応性変化の検討を行う。ただし、K14Cre-ERT TGマウスを用いた胸腺上皮特異的LATS欠損マウスは胸腺上皮以外のLATSの欠損の影響で早期に腫瘍形成や致死になることも予想されるため、TGマウスの変更やその他のHippo経路分子の遺伝子改変マウスの作製にも着手する。また、胸腺上皮特異的YAP1あるいはTAZ欠損マウスに関しての胸腺上皮細胞の分化と成熟度の検討、及びT細胞の数、分化、活性化の変化の検討を開始する。 胸腺NKT細胞におけるHippo経路の役割に関しては、引き続きMST欠損iNKT細胞細胞の抗原提示能やサイトカイン産生のなど機能の変化の検討を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に計画していたマイクロアレイ解析やメタボローム解析を2021年度に変更したため、次年度使用額が生じた。
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[Journal Article] Endogenous YAP1 activation drives immediate onset of cervical carcinoma in situ in mice.2020
Author(s)
Miki Nishio , Yoko To , Tomohiko Maehama , Yukari Aono , Junji Otani , Hiroki Hikasa , Akihiro Kitagawa , Koshi Mimori , Takehiko Sasaki , Hiroshi Nishina , Shinya Toyokuni , John P Lydon , Kazuwa Nakao , Tak Wah Mak , Tohru Kiyono , Hidetaka Katabuchi , Hironori Tashiro , Akira Suzuki
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Journal Title
Cancer science
Volume: 111
Pages: 3576-3578
DOI
Peer Reviewed
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