2020 Fiscal Year Research-status Report
家族性肺癌に対する、次世代シーケンサーを用いた胚細胞性遺伝子変異と治療法の探索
Project/Area Number |
20K07606
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Research Institution | National Hospital Organization Shikoku Cancer Center |
Principal Investigator |
牧 佑歩 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医師 (20549878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 助教 (40467733)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
山下 素弘 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 副院長 (40284103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家族性肺癌 / 次世代シーケンス / 胚細胞変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の本研究における主な実績は、家族性肺癌が疑われる家系の見直しと協力施設との連携、血液検体の採取、次世代シーケンスの計画である。 本研究の申請書では、四国がんセンターに通院中の3家系を対象に研究を計画していたが、四国がんセンターおよび岡山大学病院、中国四国地方での協力可能施設に協力を仰ぎ、家族性肺癌が疑われる家系を再検索した。すると、兄弟および両親のどちらかに肺癌を発病している家系は合計6家系、4施設に及んだ。確認されている組織型は、何れも肺腺癌であった。「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を順守した研究計画書と同意書を作成し、それぞれの施設で倫理委員会での承諾を得た。6家系とも肺癌患者からの研究同意が得られたため、採血を行った。また3家系において、肺癌を発病していない非肺癌被検者からの採血を行った。現在までに21検体の採血を血漿と白血球に分離して冷凍保存している。 しかしながら、次世代シーケンスを行う際の比較材料となる非肺癌患者の血縁者からの採血が不十分である。少なくとも、1家系において、肺癌患者2人、非肺癌被検者2人からの採血を目標にしている。COVID-19の流行により、非肺癌患者が不要不急の来院をすることが困難であったが、本年度において多くの症例で手術後サーベイランスの外来の際に付き添いとして非肺癌患者の親類が来院予定であることを確認したため、今年度前半に検体が揃いシーケンスを行う予定である。 同一地域で多数の家族性肺癌家系を研究対象とすることで、共通した変異を検索し、より影響力と確実性が高く、検査と治療対象となり得る原因遺伝子を検索可能と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の律速段階は被検者の同意と検体の採取である。 家族性肺癌が疑われる家系の肺癌患者については、手術後の患者が大半であるため、定期的な外来診察の際に同意説明が可能であったため、前年度で十分な検体量が採取できた。しかしながら、比較材料としての、肺癌に罹患していない血縁者からの同意と採血が不十分である。これはCOVID-19の流行により、各病院自体が不急な来院を避け、可能な限り少人数での来院を要請したことに起因している。 本年度においては、これらの非肺癌被検者が肺癌患者の付き添いとして外来に来院予定であることが、複数の家系で確認されている上に、電話連絡で研究参加の意向が得られていることから、非肺癌被検者からの検体採取が進むと予想している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に被検者からの検体採取を終了し、次世代シーケンスを行う予定である。シーケンスの結果を基に、家族性肺癌の原因と考えられる胚細胞性遺伝子変異を検索する予定である。この作業にはバイオインフォマティシャンの知見を仰ぐ。 既に複数の家系からの検体採取が勧められていることから、原因遺伝子が複数発見されることも想定している。それぞれの遺伝子について、岡山大学 呼吸器・乳腺内分泌外科で保存している肺癌患者のDNAから同様の遺伝子変異が見られるか、頻度検索を行う。 また、肺癌細胞株において、これらの遺伝子の抑制による増殖能の低下、正常気管支上皮細胞株に対する遺伝子変異導入での腫瘍化などを観察し、可能であればIngenuity Pathway Analysis (IPA)等を用いて、in silico での解析を計画する。
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Causes of Carryover |
本研究は次世代シーケンスを行う予定である。 2020年度の主な支出は予備実験についての試薬・機材の購入と共同実験室の使用料である。想定よりも多くの被検者からの検体採取が可能となった。何れの家系も医学的見地から貴重な症例であり、原因遺伝子の検索が相応しいと考えている。そのため30検体を超えるシーケンスになると想定してる。エクソソームシーケンスを行う場合、200万円近い支出が予想されるため、今年度への備蓄が必要となった。
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