2022 Fiscal Year Research-status Report
家族性肺癌に対する、次世代シーケンサーを用いた胚細胞性遺伝子変異と治療法の探索
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20K07606
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Research Institution | National Hospital Organization Shikoku Cancer Center |
Principal Investigator |
牧 佑歩 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 医師 (20549878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 講師 (40467733)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
山下 素弘 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), その他部局等, 院長 (40284103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / 家族性癌 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の本研究における主な進捗は、対象家系の絞り込みである。 本研究は血縁内に複数の肺癌患者がいる家系を対象とし、胚細胞由来の遺伝子から、肺癌発生の原因となりえる遺伝子を、次世代シーケンサーを用いて推定する研究であるが、全ての対象家系についてシーケンスを行う事は、費用の面と実際に原因遺伝子を特定し得るかという可能性の面で現実的ではないため、対象を選択する必要があった。 これまで、家族性肺癌が疑われる7家系について、本研究の対象とし、33例の採血検体を収集した。しかし、申請者が診療に関わった肺癌患者については同意の取得及び、採血への協力は良好であったが、その比較対象となる肺癌を発症していない血縁患者からの協力が十分に得られず、3家系が対象に絞られた。 3家系の肺癌症例から、既存検体である外科的切除を行った肺癌の腫瘍検体を用いて、いわゆる肺癌のDriver mutationのRT-PCR検査を行ったところ、2家系から複数例のEGFRの変異が見られた。また、1例にMET skipが見られた。同一家系内であってもEGFRの変異部位が一定ではないため(EGFR L8558R、19delやMinor mutationが混在していた)、これらの2家系については、EGFRが不安定となるようながん抑制遺伝子の異常が示唆された。しかしながら、この遺伝子を推測するには、同家系からの多数の検体が必要となり、費用と検体収集の面から現実的ではないと判断した。 残る1家系については3世代で続く肺癌であり、肺癌発病年齢も40~50代と若い。3人の肺癌症例と3人の非肺癌血縁者から協力が得られたため、次世代シーケンサーを用いた解析を準備しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は基礎研究でありながら、対象患者および肺癌を発病していない血縁者からの同意と採血を得なければならない。肺癌を発病する年齢を考慮すると、患者の兄弟、姉妹が適当であるが、多くの場合は遠隔地に居住しているため、COVID-19の流行により、来院の協力を得ることが困難であった。流行が落ち着いている際に、対象者の近医で協力を得ながら、同意、採血を繰り返していたため、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的に対象となっている1家系については、次世代シーケンサーによる解析の準備は進んでいる。既にDNAを抽出し、ライブラリーの作成、アプリケーションを選択しているところである。 原因遺伝子の推定については、次世代シーケンサーの結果から、バイオインフォマティシャンの協力を得ながら行っていく。腫瘍部からのDNAも同時に解析し、セカンドヒットについても可能性を探る予定である。 推定された遺伝子について、細胞株による基礎実験を進めると同時に、研究対象患者を拡げながらその遺伝子の発癌性を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
研究立案時は昨年度で終了する予定であったが、COVID-19の流行により研究の実施がかなり遅れている。最も費用を費やすと考えられていた次世代シーケンサーのシーケンスと解析を延期し、次年度に充てたことが最大の理由である。
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