2020 Fiscal Year Research-status Report
晩期再発乳がんにおける休眠トリガーと分子機構の解明
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20K07612
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河野 晋 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (30625463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RB / 休眠細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、RB不活性化を介したPGAM1発現抑制による代謝変化ならびに休眠状態の細胞 の代謝を解析し、環境非依存的な代謝リプログラミング(代謝改変)による休眠状態への導 入機構を明らかにする。具体的には1)休眠細胞モデルにおける代謝・シグナル経路の解明、2)スクリーニングを基盤とした休眠細胞誘導関連分子の探索、3)代謝リプログラムを標的とした休眠細胞の排除機構の解明である。本年度は1)に関して、PGAM1発現抑制が、2D培養での細胞増殖を抑制するが、3D培養でのスフェロイド形成を促進することを見出した。また、スフェロイドを再度2D培養条件下に戻すと、非常に増殖が遅く未分化な状態を一定期間のみ維持することを見出し、スフェロイド中には休眠細胞が濃縮されていることが示唆された。このことを明らかにするために、スフェロイド中の休眠状態細胞の可視化分離を試み、内在性の遺伝子に蛍光タンパクをノックインするシステムを新たに構築した。本システムを持ちいて、スフェロイドより休眠細胞を単離してその細胞特性の解析をすすめる。一方で、RBやPGAMの発現抑制は、AMPKのリン酸化を誘導するが、培地中のグルコース濃度によりそのKineticが異なることを見出した。生体内血中濃度である5.5 mMより若干低いグルコース濃度では劇的なAMPKのリン酸化がRB・PGAMのノックダウン細胞で観察された。軽度な低栄養下においてRB-PGAM lossがAMPKリン酸化を引き起こす生理的意義を追求する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる記述である、内在性遺伝子に蛍光タンパクをノックインするシステムの構築に成功した。また、本システムとセルソーターを用いることで、非ウイルス的に遺伝子のバルクノックアウトが可能になることも明らかになった。また、RB不活性化ならびにPGAM不活性化によるAMPKリン酸化は培地中グルコース濃度に非常に高い関連が示唆されるデータも得られており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
スフェロイド中の休眠細胞の個々の性質について解析をすすめる。具体的には、RNA-seqや高解像度転写・エンハンサー解析(NETCAGE)、ChIP-seq、細胞外フラックス、メタボローム複合解析を行う。また、単離した休眠細胞の休眠性を失わせるような化合物をスクリーニングにより探索する。
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Causes of Carryover |
出張旅費を計上していたが、参加予定の学会が開催されないまたはオンライン開催となったため、それに関わる経費が次年度使用額として生じた。次年度には研究遂行に関わる物品費として使用する。
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Research Products
(10 results)