2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞競合における認識分子を利用した初期がん診断バイオマーカーの開発
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20K07630
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 祥子 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(RPD) (00584533)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞競合 / 初期がん / バイオマーカー / 細胞間認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
正常な上皮細胞と、がん遺伝子などに変異を持つ異常な上皮細胞が隣接すると、細胞間で競合が起き、競合の結果、敗者となった異常な細胞は上皮層から排除される。このような現象は「細胞競合」と呼ばれている。細胞競合が起きる際、正常な上皮細胞と遺伝子が変異した上皮細胞は互いに異なる性質の細胞であると認識しているはずであるが、その機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、細胞競合の際に、認識に関わっている分子を明らかにし、さらに、そのような分子を初期がん検出のバイオマーカーとして開発することを目的としている。その目的のため、ファージディスプレイ抗体ライブラリーを使い、正常なMDCK細胞とRas変異を持つMDCK細胞を混合培養した時のみ、細胞表層に提示される膜タンパク質を認識する抗体のスクリーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファージディスプレイ抗体ライブラリーによるスクリーニングにより、細胞競合の現象に関わる興味深い局在を示す分子を認識する抗体が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、得られている抗体の標的の分子を同定する。分子を同定したら、MDCK細胞やその他の上皮細胞株で、その分子のノックアウト、過剰発現を行い、その分子の機能を解析する。また、マウスやヒトの組織切片でも、該当の分子の局在を確認する。ファージディスプレイ抗体ライブラリーによるスクリーニングも継続する。
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Causes of Carryover |
ファージディスプレイ抗体ライブラリーを使ったスクリーニングによって、得られた抗体の標的分子が同定された後、その分子を解析するための試薬を購入する必要があるが、該当年度末の時点で、標的分子を確定できなかった。よって、標的分子が確定するだろう次年度以降に、より多額の費用が必要になることが見込まれるため、該当年度の物品費の使用を保留した。また、学会などへの出張の必要がなかったため、旅費が不要となった。現在、標的分子がほぼ確定しつつあるので、次年度は、その分子の解析に必要な試薬などの購入に使用する予定である。
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