2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能による深層機械学習システムを用いた乳癌組織画像解析アルゴリズムの構築
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20K07637
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌也 九州大学, 大学病院, 助教 (10755242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
久保 真 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60403961)
小田 義直 九州大学, 医学研究院, 教授 (70291515)
中津川 宗秀 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70448596)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / 人工知能 / 免疫染色 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌は、日本人女性において最も罹患率の高い癌腫である。標準治療の確立により予後の改善は得られているが、それでも治療抵抗性を示す集団が存在し、より細分化した個別化治療が求められている。乳癌治療においては正確な病理診断による生物学的特性の評価とサブタイプに基づいて治療方針が決定されるが、標的分子の多様性など複雑化の一途を辿っており、人間による診断には一定の限界があると考えられる。人工知能(artificial intelligence; AI)は、知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術であり、医療の分野でも、AIを用いて画像診断や病理組織診断を行う試みが多くなされている。本研究は、AIによる深層機械学習を用いたデジタル画像診断によって、これまで人間の手や眼では不可能であった、高速・高感度の生物学的機能解析アルゴリズム構築し、単純なヘマトキシリン・エオジン(HE)染色画像のみから複雑なタンパク・遺伝子発現を解析・予測することで、個別化治療に必須の生物学的特性を迅速かつ安価に提供することを目的としている。 「AIにより、乳癌組織HE染色画像から遺伝子・タンパク発現解析は可能である」という仮説の証明を行うために、以下の3点に焦点を当てている。 1 深層機械学習システムを用いた乳癌組織HE染色画像解析のアルゴリズムを構築する。 2 治療標的となりうる多遺伝子・タンパクを特定する。 3 個別化治療を目指したAIによる病理画像解析の新たな活用への道筋をたてる。 本年度は、上記1として、43症例のHE染色像を元に、HE染色像から免疫染色を判定する深層学習をおこなった。この結果を受け、HE染色からER発現は予測可能になりうる前向きな結果が得られた。このことは、形態を表すHE画像から、タンパク発現を予想することができる可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度予定していた研究ステップは「解析ターゲットの拡大」である。具体的には、前年度確立したWhole Slide Image(WSI)を用いたConvolutional Neural Network(CNN)による深層学習に基づき、これまでの「ER」「PgR」「HER2」「Ki67」の他、PD-L1やT-bet等に対象を広げることとした。当初の目標症例数は「100例」を予定していたが、まだ解析の中途である。 以上より、今後、症例数の積み上げを行っていく過程であり「③やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度を振り返り、より精度の高い予測判定アルゴリズムを構築するためには、教師用画像、判定用画像ともに、症例数の集積が必要と考えられた。これまで本研究室で行ってきた難治性乳癌関連因子(PD-L1やT-bet、Granzyme B)の解析拡大を進めつつ、さらなるステップとしてこれまで集積してきた、がん遺伝子パネル検査の結果と対比し、HE染色像から予測することを目標としている。
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Causes of Carryover |
解析が目標症例数に足りておらず、計画はやや遅れているため。次年度は免疫染色用試薬等の費用に使用する予定である。
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