2020 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療効果を高精度に予測する分子イメージングレディオミクスモデルの開発
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20K07698
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
生島 仁史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90202861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 和也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10263815)
芳賀 昭弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30448021)
古谷 俊介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (30380041) [Withdrawn]
工藤 隆治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10263865)
大谷 環樹 徳島大学, 放射線総合センター, 助教 (40709557)
佐々木 幹治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00885600)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レディオミクス / 放射線治療 / MRI / 治療効果予測 / マウスがんモデル / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
がんに対する治療効果を早期に正確に判断することで、次に行うべき治療が適切に選択できるようになれば治療の個別化、precision medicineを実現できる。治療効果を評価する方法として画像診断は低侵襲で汎用性のある方法であるが、従来の方法では治療効果を正確に評価することはできない。しかし、レディオミクスの手法による画像解析を用いれば、従来の技術では抽出することができなかった、治療効果を反映する情報を抽出できる可能性がある。 今回の研究では、マウスがんモデルの分子イメージングをレディオミクスの手法を用いて解析し、免疫病理学的評価による裏付けを取りながら、放射線照射によって特異的に変化する特徴量を検出することを目指している。 初年度である2020年度は、マウスがんモデルの作成とその分子イメージングを動物用magnetic resonance imaging (MRI)と新規トレーサーである18F-3’-deoxy-3’-fluorothymidine (18F-FLT)を用いた positron emission tomography(PET)により実施することに成功した。また、放射線治療効果を得るための適切な照射線量を決定するための予備実験を行い、免疫病理学的な検証により本実験で用いる線量分割法を決定した。さらにMRI画像から476のレディオミクス特徴量を数値化して抽出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんのMRIを取得するため、動きによるartifactが少なく、撮像用コイルの良好なフィッティングが得られる頭皮を選択し、ヒト肺がん細胞株(A549)を皮下移植したマウスがんモデルを作成した。がんが約1cm大の腫瘤を形成したタイミングで動物用MRI装置を用いてT2強調像と拡散強調像を撮像した。画像を評価した結果、artifactはなく解析可能な画像であると判断した。 同マウスモデルを6匹作成し、放射線照射群と非照射群に分け、放射線照射群に対して20Gy/2回/2周のX線照射を行い、照射群・非照射群ともに照射直前及び照射1週間後にMRI・T2強調像と拡散強調像を撮影し、取得したMRI像からレディオミクスの手法を用いて、476の特徴量を取得した。 MRI撮像後、放射線照射2回目から1週後にマウスを犠牲死させ、腫瘍から検体を採取し、がん組織のMIB-1 indexとアポトーシス出現率を解析した。また同時にヘマトキシリンエオジン染色も行い炎症細胞浸潤を評価した。結果、MIB-1 indexは照射群で低下しアポトーシスは照射群で発生率が高くなり、放射線照射効果が確認できた。 がんの8F-FLT PETを取得するため、血流がよく移植細胞の生着率が高い前肢基部を選択し、ヒト肺がん細胞株(FT821)を皮下移植したマウスがんモデルを6匹作成し、放射線照射群と非照射群に分け、がんが約1cm大の腫瘤を形成したタイミングで放射線照射群に対して20Gy/2回/2周のX線照射を行い、照射群・非照射群ともに照射直前及び照射1週間後に動物用PET/CT装置を用いて呼吸同期PET/CTを撮像した。画像を評価した結果、artifactはなく解析可能な画像であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2020年度に施行した実験により確立した手技を用いて、2種の肺がん細胞マウスがんモデルのMRIおよび8F-FLT PET画像データを取得する。予定データ数はMRIとPET/CTで10/10(照射群/非照射群)としている。画像データ取得後、放射線照射の有無により有意差を認める特徴量を抽出する。また、病理学的に判定した放射線照射効果とレディオミクス特徴量の相関を解析する。 2021年度の実験によって、放射線照射の有無による有意差が認められ、病理解析結果とも相関する特徴量を放射線照射効果特異的特徴量候補とする。 2022年度は、2021年度に決定した放射線照射効果特異的特徴量候補に関して、前方視的検証を行う。2021年度までの実験方法を繰り返し、2021年度の実験で決定した放射線照射効果特異的特徴量候補のデータが再現されるか検証を行う。
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Causes of Carryover |
予備実験として2種のがん細胞を移植したマウスがんモデルのMRIを撮像する予定であったが、1種のがんマウスモデルのMRI撮像が終了した年度終盤の時点で、MRI装置不具合のため実験が止まってしまった為次年度使用額が生じた。現在は動物用MRIは復旧しており、翌年度分として請求した研究費と合わせて前年度に実施できなかった他種のマウスがんモデルのMRI撮像を行い使用予定である。
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