2020 Fiscal Year Research-status Report
データ統合フレームワークによる報酬動機づけ文脈の脳機能解析の特異性と信頼性の確立
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20K07727
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80431766)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動機づけ / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大規模オープンリソースと独自に収集した実験データを統合的に解析するフレームワークにより,ヒト非侵襲脳計測実験で新しい仮説をテストしながら,信頼性と一般性を確保することを目的とする.とりわけ,報酬により動機づけられた作業記憶の強化が,どのように持続して,どのような脳機構に支えられているのかを調べるために,機能的MRI・行動・心理検査のオープンリソースと互換性が高いオリジナル実験をデザインする そして,深層学習によりオープンリソースデータの分類・予測を学習させ,オリジナルデータをテストし,分類・予測に特徴的な情報を可視化することにより,脳機能マッピングを行う. 本年度は,研究実施計画にあるように,Human Connectome Project (HCP)で用いられているN-back作業記憶課題に金銭報酬による動機づけを付加した行動課題を開発した.そして,開発した動機づけ課題と,HCPのオリジナルのN-back作業記憶課題を遂行するヒト被験者の脳活動を機能的MRIで撮影した.機能的MRI装置および撮影パラメータはHCPと同等にした.すなわち,シーメンス社製のMRIで,多バンド加速グラディエントエコーエコープラナー法を用いて多バンドファクターを8にし,空間解像度2x2x2mm,時間解像度0.743secの高時空間解像度を確保した. オリジナルのN-back課題では,行動・脳機能画像解析の結果は,HCPで配布されているデータと一致した.動機づけ条件では,行動解析,脳機能画像データ解析を行なったところ,過去の文献(Jimura et al. PNAS 2010)と一致する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新コロナウイルス感染症の蔓延の影響で実験が半年間実施できないという状況にあったが,2020年度後半から実験を開始することができた.オリジナルのN-backと部分的に一致して,かつ,本研究課題の新しい仮説を検証するための適切な行動課題をデザインすることができた.また,被験者1人あたりの実験実施を適切な時間に抑えることができた.その上で,オリジナルN-back課題では,標準的な機能的MRI解析でHCPデータと一致する結果を得て,また,動機づけ条件では過去の文献と一致する結果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年は実験を開始できたが,収集したサンプル数は予定より少なかったため,引き続きデータ収集を継続する.標準的な一変量の機能的MRIの解析に加えて,サーチライト多変量解析,深層学習を用いたマッピングの解析に着手していく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響があり,実験を実施した日数が少なく,データ収集のサンプル数が十分でなかったため,次年度使用額が生じた.2021年度は,2020年度で予定していた実験を続けていく予定であり,生じた次年度使用額は,当該の実験の実施に必要な経費に割り当てる予定である.
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