2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07847
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日高 洋 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30243231)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 徹 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師 (00263236)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 穿刺吸引核酸診断法 / 甲状腺濾胞癌 / RT-PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
1.手術が必要な症例を選別するために有用な少数の遺伝子群の同定;以前にDNAマイクロアレイ解析にて収集した甲状腺腫瘍の遺伝子発現プロフィールのデータを使用し、症例の病理組織診のデータ等から手術が必要であったと考えられる症例を選別した。遺伝子発現プロフィールのデータをスクリーニングし、これらの症例に共通する遺伝子発現パターンを同定した。候補となる遺伝子群を抽出し、診断効率を極端に落とさない範囲で遺伝子数を絞り込んだ。その結果2個の遺伝子セットでの定量が好ましいと判断した。最も感度・特異度が高いものはTFF3とLGALS3のセットであり、当グループを含む複数の研究グループが以前に出した結果と一致した。 2.TaqMan法による定量解析に必要なプライマー・プローブのデザイン;上記の2遺伝子に対して、それぞれに対応するプライマーとプローブを複数デザインした。デザインされたプライマーとプローブを用いて、甲状腺組織から抽出したRNAを用いてRT-PCRを実施し、最も増幅効率の高いプライマーとプローブのセットを同定した。 3.2種類の遺伝子の単一チューブによる定量解析法の確立;上記でデザインしたプライマーとプローブを用いて、単一チューブで逆転写から解析まで行う計測系を確立を目指した。TFF3 mRNAとLGALS3 mRNAをそれぞれの遺伝子に対応する異なった蛍光色素で標識したプローブで同時測定し、十分な増幅効率を示す最低のプライマー濃度を決定した。また、反応系の量を10μlまで削減した。この状態で甲状腺組織由来のRNAを用いて測定間・測定内誤差を測定したところ、測定内誤差は10%以下に、測定間誤差もTFF3 mRNAが低値となる検体を除けば15%以下に収まり、臨床検査として使用可能なレベルと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した研究初年度に予定していた課題をすべて解決した。
|
Strategy for Future Research Activity |
穿刺吸引核酸診断法は、細胞診のために穿刺を実施した時に使用した針の中に残った細胞から核酸を抽出して解析する患者に負担を与えない検査法である。フィルター濾過法による検体前処理は下記の通りの手順を踏む。まず、穿刺で採取された検体をいったん低張液に懸濁してコンタミしてくる赤血球を溶血で除去し、RNA保存液(RNAlater)にて保存する。後日、35μmのフィルターを通すことで、塊として採取される甲状腺腫瘍細胞をメンブレン上に回収し、コンタミしている白血球を濾過で排除する。最後に、メンブレンに細胞溶解液を加えて、腫瘍細胞のみからの核酸を回収する。今後は当方法を用いて、実際の患者検体より甲状腺腫瘍由来の細胞を選別してRNAを回収し、TFF3 mRNAとLGALS3 mRNAの定量解析を行う。検体採取の方法を検討し、できるだけ簡便で安価な方法を確立する。検体採取法に伴う問題点を抽出し可能なものに関しては検査法の改良を進める。検体採取法が確定した後は、実際の患者から採取された検体の収集を行う。主として手術適応の可能性がある対象患者に対して確立された方法を用いて穿刺検体からRNAを抽出して解析する。目標検体数は2年間で300検体を目指す。その後、手術となった場合は病理組織診、および臨床経過を評価し、検査の性能を評価する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナで学会出張がなくなり旅費を使わなかったため。今年度は学会出張する予定。
|
Research Products
(2 results)