2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07847
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日高 洋 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30243231)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 徹 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師 (00263236)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 穿刺吸引核酸診断法 / 甲状腺濾胞癌 / RT-PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は甲状腺穿刺検体からのRNA抽出法の最適化と低コスト化を検討した。①検体の保存と運搬;検体は採取後精製せずに4度にて保存していたが1か月程度の保存でも解析に影響をみとめなかった。運搬に関しては真夏の2時間程度の常温による運搬の後でも問題なく解析できた。②DNase 処理の省略;以前のプロトコールでは核酸抽出キットのマニュアルのとおりにRNA抽出作業を実施していた。このキットでは検体に混在するDNAを除くため、DNase処理のステップが入っていた。穿刺検体にDNase処理を加える、加えないという2つの条件で、結果の差異を検討した。処理の有無で、TFF3/LGALS mRNAの発現比の測定結果、および検出されるRNAのコピー数に明らかな差を認めなかった。この結果を受けて、DNase処理を省いた結果、作業期間が15分短縮した。③フィルター付チップの使用の一部省略;RNA抽出作業にはすべてフィルター付き、かつRNase Freeのチップを使用していたが、蛋白変性試薬が共存しているステップでは通常のチップを使用することとし、コストダウンを図った。検体の性状に特に影響は認められなかった。④血球細胞分離時の遠心力の最適化;以前のプロトコールでは、血球細胞と甲状腺腫瘍細胞の分離に、フィルターメッシュを介して遠心することでフィルター上に甲状腺腫瘍細胞のみを残す方法(フィルター濾過法)を用いていた。しかし、血球細胞が大量に混入している穿刺検体では、1回の遠心では検体の濾過が完了せず、同じ操作を何回も繰り返したり、ピペットを用いた懸濁操作を必要とした。このような煩雑な作業を回避するため、遠心時の回転数を後の解析に影響しないレベルで最大限上げた。この変更によって、血球が大量に混入している検体でも1回の遠心分離で作業が完了するようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症蔓延の影響で、関連病院との研究実施の協力関係の構築が遅れており、かつ甲状腺腫瘍の患者の来院も減少している。この影響で、実際の患者から採取した穿刺検体の解析が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに 穿刺吸引核酸診断法の基礎的技術を完成させ、実際の患者から穿刺検体を採取して保管、当研究室に運搬してRNAを抽出して、TFF3/LGALS3 mRNA比を測定するまでのシステムをすべて完成させることができた。今後は、関連病院と患者の選別・検体の採取・保管・運搬に関して相談し、診断を必要としている実際の患者から検体を採取してデータを取っていく体制を早急に構築していく。主として近々に手術対象となる可能性がある患者を選別し、これまでに確立された方法を持いて穿刺検体からRNAを抽出して解析する。目標検体数は残りの1年で100検体を目指す。その後、手術となった場合は病理組織診、および臨床経過を評価し、検査の性能を評価する。
|
Causes of Carryover |
感染症蔓延の影響で、関連病院との研究実施の協力関係の構築が遅れており、かつ甲状腺腫瘍の患者の来院も減少している。この影響で、実際の患者から採取した穿刺検体の解析が遅れている。それに伴い当該年度の物品費の経費が少なくなり、次年度は物品費の経費が多くなる予定である。
|
Research Products
(2 results)