2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of method to activative immune tolerance involved in fertility
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20K07856
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小林 匡子 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (50438561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 黄耆建中湯 / 制御性T細胞 / CTLA-4 |
Outline of Annual Research Achievements |
BALB/c雌性マウスに、オウギ配合漢方薬(帰耆建中湯、黄耆建中湯、桂枝加黄耆湯、防己黄耆湯)又はオウギの熱水抽出エキスをそれぞれ21日間自由摂取させ、この4日後に抗原(コンカナバリンA)をマウス尾根部から投与した。この7日後にマウスを安楽死させ、無菌的に摘出した脾臓の単細胞懸濁液を作成した。各群マウスの脾臓細胞5×106個/mL及び抗原をウェルに添加し、37℃、5%CO2のインキュベーター内で培養し、経時的に採取した培地中のIL-2及びIL-10の各濃度をELISAにより測定した。帰耆建中湯及び防己黄耆湯群のIL-2濃度の経時的曲線下面積(AUC)は、他のオウギ配合漢方薬よりも低値を示し、さらに制御性T細胞(Treg)が分泌するIL-10のAUCを有意に減少させたことから、IL-2刺激を介したTregへの分化を抑制する可能性がある。 ICR雌性マウスに、オウギ配合漢方薬又はオウギの熱水抽出エキスを1日1回14日間経口投与した。14日目に経口投与中止し、各群マウスを同週令ICR雄性マウスと自然交配させた。子宮脱落膜形成時に雄性マウスとの同居を解除し、ただちに安楽死させて子宮を摘出した。子宮懸濁液を遠心分離し、その上清中のタンパク20ug当たりのCTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte antigen 4)発現量をELISAにより測定した。黄耆建中湯群のみがCTLA-4発現量の有意な増加を示した。 Tregに高発現したCTLA-4が父親由来胎児組織抗原に対する母体の免疫寛容を誘導し妊娠が維持されている。黄耆建中湯は脾臓でのCD4+T細胞からのTregへの分化を抑制させず、さらに子宮脱落膜形成時の子宮Treg上CTLA-4発現量の増加または子宮Treg数増加を介し、妊娠時の免疫寛容を促進させ妊娠を維持している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、血中IL-2濃度及び血中の可溶性CTLA-4濃度の測定を行う予定であったが、脾臓細胞からのIL-2及びIL-10分泌量の測定に計画を変更した。これにより制御性T細胞から分泌されるIL-10を減少させたオウギ配合漢方薬は、脾臓においてナイーブCD4+T細胞からの制御性T細胞への分化を阻害させた可能性が考えられた。また、子宮脱落膜形成時の子宮溶解液中のCTLA-4濃度を測定するに当たり、ウェスタンブロッティングの条件の検討中であり、簡易的な試験としてELISAによるCTLA-4発現量の測定を行った。ELISAにより黄耆建中湯群の子宮CTLA-4量の増加が認められ、妊娠時の免疫寛容を担うCTLA-4+Tregを増加させる可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠時の免疫寛容に関与する脱落膜形成時子宮のCD4+CD25+CTLA-4+Treg数を黄耆建中湯が増加させるか明確にする。黄耆建中湯の熱水抽出エキスをBALB/c雌性マウスへ一定期間投与した後、同週令BALB/c雄性マウスと自然交配し、子宮脱落膜形成時に安楽死させた後子宮を摘出する。単細胞分離キットにより新鮮子宮から単細胞を得た後、膜タンパク質(CD)の固定を行う。次いでCD4、CD25、CD152(CTLA-4)蛍光色素標識抗体により蛍光標識を行い、フローサイトメーターに供する。フローサイトメトリーでは、リンパ球に対するCD4+CD25+Tregの割合(CD4+CD25+Treg/lymphocytes)及びCD4+CD25+Tregに対するCD4+CD25+CD152+Tregの割合(CD4+CD25+CD152+Treg/CD4+CD25+Treg)を算出し、黄耆建中湯が子宮の制御性T細胞数の増加及びCTLA-4発現制御性T細胞数を増加させるか調査する。
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Causes of Carryover |
助成金受領前にマウス及び生薬、麻酔薬などを購入し先行的に実験を行った為次年度使用額が生じた。翌年度の助成金と併せてフローサイトメトリーのためのマウス、キット、試薬等の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)