2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K07858
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
清宮 正徳 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (20554265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 一之 千葉大学, 医学部附属病院, 准教授 (90344994)
佐藤 正一 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (90803255)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 異常反応 / アルブミン / AI / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日常検査における臨床化学検査の精度を保証するために、生化学自動分析装置から出力されるデータに加え、反応中の吸光度の推移を観察することで突発的に発生する異常を検出することを試みている。日常検査で提出された17833症例の反応波形について、第一に隣り合った2点間の吸光度間の差について分散値を算出した。第二に特定の離れた2点間の吸光度間の差について分散を算出した。これらの分散値の10倍を異常と判定した。第三に隣り合った2点間の吸光度間の差について機械学習による主成分分析を行った。これらの方法を血漿中アルブミン濃度に適用した結果、13症例の異常波形が検出され、うち10症例ではアルブミンの偽高値が確認された。一方機械学習法では27症例が異常波形と判定され、このうち18症例は機械学習法でのみ異常と判定された。今回異常反応によるALB偽高値は0.1~0.3g/dL(平均0.17g/dL)であった。ALBは栄養指標の他、腎機能検査におけるネフローゼの診断基準や肝硬変のChild-pugh分類に用いられ、特に3.0g/dL 以下の低濃度領域において高い分析精度が求められる。今回の我々の方法はALBの低濃度領域における異常反応を検出できており、検体を希釈して再検することで偽高値の報告を防止できることから有用性の高い成果と言える。これらの異常検出法をリアルタイムに実行できるシステムを構築することで臨床側へ報告前の再検査が可能となり、より信頼性のある検査結果を報告することが可能になると考えられた。 検体希釈液に一定の色素を添加してその吸光度の異常から試料や試薬の分注異常を検出する試みでは、検体と混合しても色調の変化を生じない長波長に吸収を持つ色素を購入し、本目的に使用可能かどうか検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、日常検査における臨床化学検査の精度を保証するために、異常反応や試薬の分注異常を効率的に検出することを試みている。今回は反応波形の各種吸光度の分散を計算する方法に加え機械学習法(AI)を用いて異常を検出する方法を実施した結果、これまでの方法では検出できなかった異常を検出することができた。本内容について論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
異常反応の検出について、症例数の拡大、およびアルブミン以外の測定項目への応用を行う。また色素添加による検体・試薬の分注異常の検出法を自動分析装置を用いて試みる。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で学会出張が不可能となった。
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Research Products
(12 results)