2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K07866
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
花島 律子 鳥取大学, 医学部, 教授 (80396738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇川 義一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50168671)
清水 崇宏 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (90772145)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経可塑性 / 非侵襲脳刺激法 / 経頭蓋磁気刺激 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの非侵襲脳刺激による可塑性誘導の変化が、神経変性疾患における症状とどのように関係するか解明を行い、症状の客観的指標や予後の予測因子となるように今後臨床的に役立てることがきるか解明することを目的に、引き続き研究を行った。 令和4年度は、可塑性誘導の変化と臨床症状の関係について、まずこれまでのパーキンソン病での研究を引き続き行い結果をまとめた。可塑性誘導は4連発磁気刺激法を用いた長期増強効果とした。その結果、パーキンソン病では、年齢を合致させた健常ボランティアと比較して、長期増強効果が減弱していることが明らかになった。この長期増強効果の障害は、レボドパ内服で回復するが、レボドパ内服のあるなしよりもパーキンソン症状の重症度に関与する部分が強いことが分かった。運動野における長期増強効果の程度は、パーキンソン病の運動症状、特に動作緩慢と強い関連があり、非運動症状とは関連が少なかった。また従来知られている、皮質内抑制など他の運動野興奮性の指標とも関連はなかった。この結果は、長期可塑性誘導の程度が客観的な症状の評価スケールとなり得ることを示すと共に、動作緩慢の発症機序を考察する上でも重要な結果であった。これらの結果を、論文にまとめ採択された。 更に、進行性核上性麻痺においても同様に運動野の長期増強効果の誘導の変化を調べた。その結果、進行性核上性麻痺ではパーキンソン病と同様に、長期増強効果の誘導は障害されていることが分かった。長期増強効果誘導の程度は、進行性核上性麻痺においても動作緩慢と強い関連を示した。他の運動野興奮性指標との関連はみられなかった。これらの結果は、運動野の長期増強効果の誘導の神経変性疾患での意義を考察する上で、重要な結果であった。論文にまとめて投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染拡大対策のため、研究実施は当初の予定よりも遅くなったが今年度は順調に検査を進めることができた。健常ボランティアの検査も予定人数を行うことができた。パーキンソン病の結果については論文が採択され、進行性核上性麻痺についても投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
進行性核上性麻痺の論文を完成させると共に、パーキンソン病においては可塑性誘導を調べた神経変性疾患患者において症状の進行の経過を追い、レボドパ以外の内服薬の種類と可塑性誘導の関係も分析していく予定である。また他の疾患にも研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染対策などの影響により健常被検者が集まるのが予定より時間がかかったため。 そのため、次年度に延長予定であるため。 今後謝金として使用する計画である。
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