2021 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病原因遺伝子産物VPS13Cによるオートファジー制御機構の解明
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20K07910
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
柴 佳保里 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30468582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性パーキンソン病 / VPS13C / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
VPS13Cは遺伝性潜性パーキンソン病原因遺伝子である。我々は、その原因遺伝子産物の機能解析からパーキンソン病発症機序の解明を目指している。 本年度は、VPS13Cの生理的機能を解明するため、ショウジョウバエモデルにて解析を実施した。VPS13ファミリー遺伝子は、ヒトでVPS13A, B, C, Dのホモログが存在する。一方、ハエゲノムはVPS13Aと13Cのオルソログを1コピーのみ有する。VPS13 KO(knockout)ハエは、運動機能低下、ドーパミン神経細胞の脱落、ミトコンドリア機能障害などのパーキンソン病で観察される表現型を示した。ヒトVPS13A遺伝子またはVPS13C遺伝子のVPS13 KOハエへの導入は、運動機能障害の表現型を改善した。一方、ドパミン神経細胞の脱落、およびミトコンドリア形態異常は、VPS13Cの導入のみで抑制された。これらの結果は、VPS13Cがドパミン神経細胞の機能や生存維持に関与することを示唆している。また、VPS13 KOハエでは、運動神経シナプス(神経筋接合部位)の自発的発火の増加が観察された。さらに、神経筋接合部位の超微細構造解析からシナプス小胞の肥大化が確認された。これらの結果は、VPS13が神経伝達物質の放出にも関与していることを示唆している。 以上の結果から、VPS13Cがパーキンソン病発症機構の一部である可能性が示唆された。今後、病因変異体が上記表現型をどのように修飾するのかを確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ショウジョウバエを用いて、ドパミン神経におけるVPS13Cの生理学的役割について一部明らかにできた。 また、VPS13Cの既知病因変異体、また、本講座で明らかにされた新規バリアントを発現させるための遺伝子型を持つハエの系統作製を完了しているので、予定通り来年度の計画を遂行する準備ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、VPS13Cの既知病因変異体、また、本講座で明らかにされた新規バリアントの発現が、VPS13 KOハエの表現型をどのように修飾するかを確認する。これらの実験結果により、VPS13 KOによるドパミン神経における表現型が発症機構に関与するかどうかを示唆できる。また、パーキンソン病マーカータンパク質であるαシヌクレインの蓄積にVPS13がどのように影響するかを確認する予定である。 また、培養細胞系においてVPS13Cが選択的オートファジーに関与する示唆を得ているので、その分子機構を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
一部、研究計画を変更したことにより、次年度に使用額が生じたため。 αシヌクレイン凝集を可視化する為のNanoBiTの実験計画がうまく進まず、別法に変更した。そのため、この計画を来年度に持ち越すことにした。
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Research Products
(3 results)