2022 Fiscal Year Research-status Report
メラトニン・オレキシン神経伝達を視点にした時間薬理学的なせん妄予防と発症予測研究
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20K07927
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
八田 耕太郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (90337915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一宮 洋介 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (10184631) [Withdrawn]
内村 直尚 久留米大学, その他部局等, 学長 (10248411)
杉田 学 順天堂大学, 医学部, 教授 (20322414)
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
東 晋二 東京医科大学, 医学部, 教授 (30365647)
宮川 晃一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40338405)
岸 泰宏 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60256930)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (70345289)
臼井 千恵 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70453587)
柴田 展人 順天堂大学, 医学部, 教授 (50365615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | せん妄 / 予防 / メラトニン / ラメルテオン / 時間薬理学 / ブロナンセリン / 拒薬 / 抗精神病薬貼付剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
せん妄は、高齢化に伴いさらなる増加が見込まれ、生命予後、転倒、認知症発症に関わる医学全般の課題であるが、未だ適応薬剤がない。その中で研究代表者はせん妄に必発の睡眠覚醒サイクル障害に着目し、メラトニン受容体作動薬ラメルテオンやオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントのせん妄予防効果をランダム化比較試験(RCT)で実証した。さらに、観察研究ではラメルテオンを就寝前より夕刻に投与する方が予防効果が高いことを見出した。本研究では、この結果をRCTで実証することによって、加齢に伴うメラトニン分泌量減少の補完のみならずメラトニン分泌リズムのずれの補完がせん妄予防に重要という時間薬理学的な仮説の検証を試みた。8病院の多機関共同研究として18か月間の症例登録期間を設けたが、登録できたのは8例に終わり、統計学的検討に耐えられる症例数に及ばなかった。われわれの進めてきたせん妄リスク患者の不眠対応へのラメルテオンの推奨が普及してきて、組み入れ基準を満たす症例が意外に少なくなっていたことが大きな要因であった。 一方、せん妄の実臨床における拒薬などの拒絶性の課題は、2019年9月に発売された抗精神病薬のブロナンセリンの貼付剤が内服や点滴に拒絶を示す患者にも受け入れられる場面が臨床現場で頻繁となり、夜間せん妄を呈した内服できない患者の次の夜間せん妄の予防にブロナンセリン貼付剤が頻用されるようになってきた。そのブロナンセリン貼付剤について、拒薬を呈する患者に対するせん妄予防効果を後ろ向きに検証した結果、有意にせん妄出現率を低下させていたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メラトニン受容体作動薬の時間薬理学的なランダム化比較試験は必要な症例を集積できなかったが、抗精神病薬貼付剤の拒絶性を呈する患者に対するせん妄予防効果を後ろ向きに検証でき、おおむね順調といえる進展状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
「抗精神病薬貼付剤によるせん妄予防効果に関する後ろ向き研究」の成果を国内外の学会や国際誌で発表して議論を深める。さらに、抗精神病薬のせん妄治療や予防に関する効果がRCTではしばしば否定される状況について、方法論上、時間薬理学的視点への配慮の欠如が問題であることをシステマティックレビューにて検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会がweb開催となったため支出予定額が減じたが、延長して国内外の学会で成果発表するために使用する。
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Research Products
(17 results)