2021 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の発症・病態仮説に共通するトリプトファン代謝に注目した予防・治療戦略
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20K07931
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
毛利 彰宏 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (20597851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國澤 和生 藤田医科大学, 保健学研究科, 助教 (60780773)
鍋島 俊隆 藤田医科大学, 保健学研究科, 客員教授 (70076751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / フェンサイクリジン / プレパルスインヒビション / トリプトファン代謝 / キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の死後脳において、キヌレニンを代謝する酵素であるキヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO)活性の低下が認められている。本研究では、フェンサイクリジン(PCP)により惹起される精神行動障害へのKMOの関与について検討を行った。野生型マウスにNMDA受容体アンタゴニストであるPCPを急性投与すると、情報処理機能を指標とするプレパルス・インヒビション(PPI)障害が惹起され、統合失調症モデルマウスとしての中間表現型が認められた。キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼ(KMO)遺伝子欠損マウスでは、野生型マウスにおいて無作用量のPCPを急性投与してもPPI障害が認められた。KMO遺伝子欠損マウスの海馬においてキヌレン酸(KA: NMDA受容体アンタゴニスト)の増加及び3-ヒドロキシキヌレニン(3-HK)の減少が認められた。C57BL/6NマウスにKMO阻害剤及びKAを併用投与すると、無作用量のPCP でもPPI障害が認められた。一方で、キヌレニン(KYN)、3-HK、キノリン酸(QA: NMDA受容体アゴニスト)及びキサンツレン酸 (XA: 代謝型グルタミン酸受容体アロステリックアゴニスト)を投与するとPCPによるPPI障害は認められなくなった。KMO遺伝子欠損マウスでは発症脆弱化・病態の悪化に関与するKAが増加、それらの改善に関与するXAおよびQAの上流に位置する3-HKが減少により、PCPによるPPI障害に対して脆弱性が認められたことが示唆された。以上のことから、本研究においてKMO遺伝子欠損マウスはNMDA受容体及びmGlu受容体に作用する代謝物量の変化 [KAの増加と3-HK (QA及びXA)の減少] が認められ、KMO活性の低下によるTRP代謝基軸の変容は統合失調症の病態の重症度に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トリプトファン代謝酵素の統合失調症に対する脆弱性だけでなく、その代謝物が統合失調症に対する脆弱性にどのように寄与するかどうかも検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PCPによる行動障害におけるTRP代謝経路の関与について、KMO遺伝子欠損マウス及び野生型マウスにPCPを急性投与し、陽性症状を指標とする自発運動量測定試験、認知機能を指標とするY-maze試験(短期記憶機能)を行うことで、より網羅的な行動解析を行う。またこれら行動障害に伴い、脳内の細胞内カルシウムシグナルがどのように変化するかについても検討をおこなう。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] QPRT Deficit Leads Motor and Cognitive Dysfunction through Increase of Oxidative stress in the Dopaminergic Neurvous System by Quinolinic Acid.2021
Author(s)
Akihiro Mouri, Moe Niijima, Kazuo Kunisawa, Takano Kazuki, Masayuki Yamada, Romoaki Teshigawara, Hisayoshi Kubota, Mami Hirakawa, Yuko Mori, Masato Hoshi, Fujigaki Hidetsugu, Yasuko Yamamoto, Masaya Hasegawa, Hitomi Kurahashi, Kuniaki Saito, Toshitaka Nabeshimai
Organizer
第64回日本神経化学会大会
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