2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mesenchymal stem cells for brain injury of prematurity in a rat model.
Project/Area Number |
20K08163
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
寺田 光次郎 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80843531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00305369) [Withdrawn]
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20538136)
福村 忍 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30718341)
小林 正樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70592715) [Withdrawn]
坂井 拓朗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80639229)
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
飯塚 裕典 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10869720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨髄間葉系幹細胞 / 脳性麻痺 / 周産期脳障害 / 脳室周囲白質軟化症 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、予備実験において、胎生18日目の妊娠SDラット(妊娠期間:21日)に対して、エンドトキシンであるリポポリサッカライド(LPS)を腹腔内投与し、出生した日齢7の新生仔ラットに左総頚動脈結紮・低酸素曝露をすることで、左大脳に広範囲の虚血領域を呈する、周産期脳障害(perinatal brain injury: PBI)モデルを作成した。このPBIモデルラットは、低酸素虚血単独群(左総頚動脈結紮・低酸素暴露のみ、母体LPSなし)と比較して、大脳の虚血容積が増大し、より重症になることが判明した。本研究では、PBIモデルラットに対して、別の成体ラットより採取、培養した骨髄間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSC)を経静脈的に投与し、急性期MSCの治療効果と作用メカニズムについて検証した。 日齢10のPBIモデルラットを、MSC群とVehicle群に無作為に振り分け、MSCまたはDMEM(培養液のみ、細胞なし)を経静脈的に投与した。運動機能の評価としてロータロッド試験、シリンダー試験、空間認知機能の評価としてモリス水迷路試験を用いて、行動学的解析を実施した。結果、MSC群では、運動機能、空間認知機能ともに改善が認められ、MSC静脈内投与の有効性を確認した。また動物用7T-MRIを用いて、MSC投与前後における大脳容積の変化を検証し、MSC群で残存大脳容積の増大を確認した。さらに観察期間終了後の脳組織を用いて、組織学的解析および、ex vivo diffusion tensor imagingによる画像評価を実施した。MSC群では、障害を受けた側と反対側(右大脳半球)の大脳皮質厚の増大、神経細胞の増加、神経線維数の増加が認められた。 これらの結果から、PBIモデルラットに対するMSC静脈内投与は、残存する大脳機能を賦活化する可能性が示唆された。
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