2020 Fiscal Year Research-status Report
小児由来Mycoplasma pneumoniaeにおける抗菌薬耐性機構の解明
Project/Area Number |
20K08171
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大石 智洋 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80612770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智貴 川崎医科大学, 医学部, 助教 (50858438)
川野 光興 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 准教授(移行) (00455338)
見理 剛 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (80270643)
尾内 一信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80351899)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイコプラズマ / 小児 / マクロライド / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前から続けている、全国調査として収集をしたM.pneuomoniaeにつき、ダイレクトシークエンス法によるM.pneuomoniae耐性遺伝子保有の有無、キノロン系およびテトラサイクリン系薬の薬剤感受性試験、P1血清型のタイピングとしてのRFLP-PCR方の施行について行った。 2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、同年1月から12月まではM.pneuomoniae陽性21検体と少なめで、マクロライド耐性率は33.3%であり、マクロライド耐性遺伝子変異は全てA2063G変異と、耐性率は前年(21.6%)とやや上昇していた。薬剤感受性試験において、これまでと同様、キノロン系薬やテトラサイクリン系では、明らかに最小発育阻止濃度(MIC)の高い株は見られなかった。P1タンパクによる分子疫学的解析においては、前年2019年の解析を中心に行ったが、Type2サブタイプ(2c,2g2(これまで2とされていたタイプ)が82.4%と大勢を占め、マクロライド耐性株は、7株のみ分離されたType1のうち6株とType2cの2株のみであり、近年と同様の傾向であった。 このような日本全国のかつ、長期にわたるM.pneuomoniaeの疫学調査は日本国内で他になく、貴重な研究と考える。 マイコプラズマ感染症の流行がなく、収集できる株数が少ない中での研究とはなっているが、今後、低濃度マクロライド系薬添加により発育した株につき、薬剤無添加の培地に培養し増菌させ、そこから10コロニーほど抽出し、それぞれシークエンス解析を行う実験も開始したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ流行により、他の感染症の流行が抑制され、マイコプラズマ感染症の患者数が少なかった。そのため、予定していた検査(マクロライド耐性遺伝子検索、薬剤感受性試験、P1遺伝子type)は予定通り終了できた。しかしながら、次の推進方策に挙げる更なる実験(セレクション実験や競合実験)については実施できなかったので、最終年に行っていければと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでの疫学調査の継続及びまとめはもちろん、セレクション実験、すなわちM.pneuomoniaeを低濃度のマクロライドに暴露させた後成育した菌株のシークエンス解析や、競合実験、すなわち同数のコロニーのマクロライド感性M.pneuomoniaeとマクロライド耐性M.pneuomoniaeを一緒に発育させ、その後増殖してきた菌株のシークエンス解析を行い、どちらの株に増殖において優位性があるかを検証する実験なども併せて行って行きたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ流行により、他の感染症の流行が抑制され、マイコプラズマ感染症の患者数が少なかった。そのため、予定していた検査に使用する物品の数などが予定より少なく、支出額も少なくなったことが理由と考える。 次年度の費用として、既に述べた新たな実験(セレクション実験など)のための器具や、論文執筆のための費用(投稿費など)につき使用する予定である。
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[Journal Article] Recent acute reduction in macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae infections among Japanese children2021
Author(s)
Yoshitaka Nakamura , Tomohiro Oishi , Kazunari Kaneko , Tsuyoshi Kenri , Takaaki Tanaka , Shoko Wakabayashi , Mina Kono , Sahoko Ono , Atsushi Kato , Eisuke Kondo, Yuhei Tanaka, Hideto Teranishi, Hiroto Akaike, Ippei Miyata , Satoko Ogita , Naoki Ohno, Takashi Nakano , Kazunobu Ouchi
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Journal Title
J Infect Chemother
Volume: 2
Pages: 271-276
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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