2021 Fiscal Year Research-status Report
神経芽腫の自然退縮におけるミトコンドリア恒常性の意義とその破綻による悪性化機構
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20K08199
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
巽 康年 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 上席研究員 (00450578)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経芽腫細胞株 / ミトコンドリアDNA / 次世代シークエンサー / マイクロアレイ遺伝子発現解析 / BMCC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、我々がこれまでに蓄積してきた神経芽腫研究に関する知見および確立したゲノム解析技術を駆使し、神経芽腫細胞株におけるミトコンドリアの異常の同定と、これらが『自然退縮』へと繋がるBMCC1依存的なミトコンドリア経路の細胞死に与える影響の理解およびBMCC1の発現低下と協調した神経芽腫悪性化機構の解明を目的とする。令和3年度は、以下の項目について研究を推進した。1. 神経芽腫細胞株におけるミトコンドリア遺伝子変異の網羅的同定:これまでに、18種類の神経芽腫細胞株に対して実施した次世代シークエンサーによるミトコンドリアDNAの網羅的解析から、ミトコンドリア遺伝子内の一塩基多型候補を同定した。これらについて、サンガーシークエンス法によって検証を行い、実際に当該細胞株に存在する一塩基多型を抽出した。神経芽腫細胞株から同定された一塩基多型のうち、病因性が予想される一塩基多型を公共データーベースの情報をもとに絞り込んだ。2. BMCC1がミトコンドリアの恒常性維持に関わる分子メカニズムの探索:BMCC1をノックダウンした神経芽腫細胞株の網羅的な遺伝子発現解析データーの解析を進め、コントロール細胞と比較して有意に発現変化を認めた遺伝子群を絞り込み、その検証を行った。BMCC1ノックアウトマウスと野生型マウスについて網羅的な遺伝子発現解析を進めた。なお、本研究の基盤となる網羅的なゲノム解析技術を活用したがんのゲノム解析研究を推進し、共同著者として「ミトコンドリア遺伝子変異が、がんの転移を促進する分子基盤の一端を解明した研究」を含む4件の学術論文を発表するとともに、責任著者として「がんの化学療法抵抗性の指標となりうる遺伝子異常を発見した研究」に関する1件の学術論文を発表した。さらに、共同演者として1件の国内学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経芽腫の悪性化と自然退縮メカニズムの理解を目指し、その鍵となる分子のBMCC1およびその機能的関与が示唆される細胞内小器官のミトコンドリアに着目した研究を推進した。これまでに、我々が確立した次世代シークエンサーによるミトコンドリア遺伝子変異の網羅的解析方法を使用して、神経芽腫細胞株のミトコンドリア遺伝子に存在する一塩基多型の全貌を明らかにすると共に、ミトコンドリア呼吸鎖の機能異常につながることが示唆される病因性を有すると思われる複数の一塩基多型を見出した。本結果は、神経芽腫の悪性化メカニズム解明研究に使用する神経芽腫細胞株毎に生じたミトコンドリア異常について理解するための重要な手がかりとなる。また、予定している神経芽腫症例を用いたミトコンドリア遺伝子変異の網羅的探索研究においても重要な指標となりうる。一方で、神経芽腫培養細胞とBMCC1ノックアウトマウスを用いた網羅的遺伝子発現解析からBMCC1の分子機能の検討についても推進した。以上、ミトコンドリアに注目した2方向からの研究を通じて、神経芽腫の悪性化と自然退縮メカニズムの理解につながる成果を得つつある。よって、本研究課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミトコンドリアに注目した2個の研究から取得したデーターの解析を進め、その成果を論文にまとめて報告する。さらに、同定した病因性を持つと考えられるミトコンドリア遺伝子の一塩基多型が、神経芽腫細胞の悪性化にどのように寄与するかについて検証を進めるとともに、ミトコンドリア遺伝子の一塩基多型がBMCC1依存的なミトコンドリア経路の細胞死に与える影響についても解明していく。
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナウイルス蔓延により、各種学会がオンライン開催となったため、当初予定していた旅費の項目の支出が無かった。その為、次年度使用額が生じた。当該の繰越助成金は、次年度予定している研究成果の論文投稿に係る費用の一部として使用する。
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Research Products
(6 results)