2023 Fiscal Year Annual Research Report
炎症細胞とグリアのクロストークによる新生児低酸素性虚血性脳症への新規低体温療法
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20K08211
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青山 峰芳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (70363918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣田 博樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40528949)
山田 恭聖 愛知医科大学, 医学部, 教授 (60405165)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新生児低酸素性虚血性脳症 / 低体温療法 / 脳内炎症 / グリア / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
周産期医療の進歩により新生児の救命率は著しく改善した一方で、中枢神経の後遺症に苦しむ患児を救うことは本人や家族や新生児医療関係者にとって切実な課題である。低体温療法の普及により、多くの新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)患者の予後を改善している。しかし、効果が不十分な症例や他の合併症によって適応を断念する例が存在する。本研究では、新生児のHIEに対して効果が期待されてきた低体温療法の作用メカニズムの解明と至適化に向けた基礎研究を計画した。グリアによるNeuroinflammationの制御という観点から治療メカニズムの解明および補完できる新規治療ミックスを提案することを目指した。新生児医療におけるより効果的な低体温療法を提案し、新生児期中枢神経疾患の後遺症の予防法開発を目標とした。HIEを模したIn vitroおよびIn vivoの実験により、低体温が細胞レベルおよび生体レベルでどのような効果があるか検討した。蘇生後脳症モデルラットから分取したミクログリアにおいて、炎症性サイトカインの発現が強く誘導され、低体温療法群ではこれらの傷害性因子の発現誘導が抑制された。また、蘇生後脳症モデルラット由来のミクログリアでは EPOR発現が減弱し、低体温療法により発現が回復することが確認できた。さらに、低温度環境下のミクログリアにおける温度感受性チャネルTRPV4に着目した。TRPV4阻害により、ミクログリアの炎症症性サイトカイン産生や貪食能を抑制し、ニューロンへの傷害を抑制できることを明らかにした。以上から、低体温療法の作用メカニズムについて、ミクログリアにおけるEPOシグナルやTRPV4シグナルの関与があることが明らかになった。
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Research Products
(18 results)