2020 Fiscal Year Research-status Report
有機銅錯体-循環型キレート剤混合ミセルを用いたMenkes病治療薬の展開
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20K08250
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宗形 光敏 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30312573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 浩子 帝京平成大学, 未登録, 特任教授 (00093386) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Menkes病 / Disulfiram |
Outline of Annual Research Achievements |
Menkes病は銅トランスポーターATP7Aの遺伝子異常による希少疾患である。必須元素である銅の吸収や脳への送達ができず、臓器の致死的な機能不全を来す。これまで我々は銅錯体Cu-gtsmの経口投与によりMenkes病モデルマウス(マクラマウス)を有効に生存させることを見いだした。また、化合物Disulfiramは体内で代謝されると体内の銅と脂溶性の高い錯体を形成、塩化銅の皮下注射を組み合わせることによりマクラマウスが生存できることが児玉らによって示されている。ただ、Cu-gtsmやDisulfiramは極めて水や脂質に難溶であり、粉末のままの投与では薬効が安定しない問題があった。 今年度、我々はCu-gtsmやDisulfiramを有効に溶かす生体に無害な溶媒を見いだし、溶液の形でCu-gtsmやDisulfiramをマクラマウスに経口投与した。Cu-gtsm溶液の薬効は粉末懸濁液の投与とほぼ同等であったが、一方、新規溶媒に溶解したDisulfiramの投与では、塩化銅の注射を併用しなくとも、食餌(母乳)中に含まれる銅の供給のみでマクラマウスは安定して生存、体重も良好に増加した。Disufiramは溶液とすることで安定して体内に吸収され、顕著な薬効を発揮したと考えられる。 Disulfiramは嫌酒薬としてだけではなく抗がん剤などさまざまな疾患への応用が検討されており、このような応用にも今回のDisulfiramの調製法が貢献できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Disulfiramを生体に無害な溶媒に溶解することにより、銅の付加的投与を行わなくとも病態マウスの全例が生存できたことから、これまでの計画に加え、マクラマウスの病態に対するこのdisulfiram溶液の効果を検討することにした。またコロナの影響があり、動物の作成と薬物投与がスケジュール通りにいかず遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はマクラマウスとその野生型対照を用いて上述の溶液化したDisulfiramのMenkes病病態に対する効果を引き続き検討する。検討項目は計画に従って、主要臓器の銅濃度、セルロプラスミン活性、カテコラミン濃度比等を計測し、各臓器への銅送達、銅依存性酵素活性の回復を評価する。また、Disulfiram溶液のミセル化、カプセル化の至適な条件を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延があり、動物の繁殖、薬剤の投与計画に遅れが生じ、試薬などの購入と使用が計画通りに進まなかったため、次年度使用額が生じた。この分は次年度で購入し、研究を遂行する。
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