2022 Fiscal Year Research-status Report
概日リズム関連遺伝子の自閉症、神経発達への影響について
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20K08265
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松本 歩 自治医科大学, 医学部, 講師 (20458318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エクソーム解析 / 知的障害 / 発達障害 / てんかん / GAP43 / X染色体不活化 / Menkes病 / DNM1L |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソーム解析を継続し、検出されたバリアントに対して機能解析を実施した。 ①低身長、発達障害、知的障害の症例で検出されたGAP43のc.436G>A, p.E146Kに対して引き続き機能解析を継続した。本研究は、共同研究として実施し、胎生14.5日のマウスにエレクトロポレーションを行い、皮質形成期におくるGAP43の影響について解析した。皮質の神経細胞の移動の遅れ(コントロールではIV層にたいし、バリアント例ではII-IV層にみられた)、樹状突起の形成障害、軸索の伸長障害、棘突起の密度の乏しさ、がみられた。以上の結果より、GAP43は皮質での神経細胞の移動、形成に障害をもたらし、知的障害、発達障害の原因遺伝子と考えられた。 ②家族性のX染色体不活化の偏りがみられる家系の女児のMenkes病症例において、家族解析を行った。母は(95:5)、児(99:1)、祖母(80:20)と偏りがみられた。全ゲノム解析、RNASeq等追加した。原因になるようなXIST (X-inactivation specific transcript)などのバリアントは見られなかったが、組み換えが起こっていたことが明らかになった。組み換えにより、祖母、母は非罹患で児のみ罹患になった可能性があり、論文投稿中である。 ③てんかん症例においてDNM1L((Dynamin 1-like)のc.1277>G,p.(Phe426Cys)を検出した。DNM1Lは細胞分裂過程で膜のリモデリングを仲介し、ペルオキシソームやミトコンドリア分裂に重要な役割を果たす。既知のバリアントと検出バリアントをベクターに導入し、ミトコンドリア、ペルオキシソームの形態を調べた。また、生検検体でミトコンドリア染色を行った。患者の検体では、ミトコンドリアの結節や枝分かれ等を多数認め、腫大がみられた。ペルオキシソームも腫大がみられ、本バリアントがてんかんの原因であることが同定された。その他のてんかんや、発達障害についても解析継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究の進み具合や、外注の全ゲノム解析に時間を要し、全体的に少し遅れている。しかし、もう少し論文投稿できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
GAP43の解析結果について論文作成中であり、完成次第投稿する。DNM1Lについても論文作成する。遺伝性のCACNA1H(calcium channel voltage-dependent T type Alpha 1H subunit)のてんかん症例についてはベクターを作成中で、電位測定の予定である。
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Causes of Carryover |
解析、ベクター作成、解析結果が出るのに時間を要してしまい、次の工程に進むことができなかった。今年度は研究体制を見直し、同研究室のメンバーに協力してもらい、研究を進めており、順次進めていくため研究費も使用見込みである。
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[Presentation] 難治性てんかん、光、音過敏を呈したDNM1L変異の1歳男児例.2022
Author(s)
松本 歩, 津田 英利, 池田 尚広, 宮内 彰彦, 橋口 万里奈, 門田 行史, 轡田 行信, 渡邊 和寿, 村松 一洋, 小坂 仁, 岩本 禎彦, 山形 崇倫
Organizer
日本人類遺伝学会第65回大会