2023 Fiscal Year Research-status Report
Genomic and epigenomic analysis of high-risk neuroblastoma and its application for the cancer genome medicine
Project/Area Number |
20K08269
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
大平 美紀 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 主幹 (20311384)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、難治性神経芽腫について、分子的背景の解明と、がんゲノム医療における精度の高いリスク分類システムの構築を目的に以下を進めた。 方法:日本小児がん研究グループ神経芽腫委員会が実施した高リスク神経芽腫(HR-NB)臨床試験(2007年-2018年)に登録された160例について、国立がん研究センターとの共同で作製した小児がん遺伝子パネルNCC Oncopanel-Pedを用いて、遺伝子変異解析を行った。また、1990年-2014年に全国で診断された605例のゲノムコピー数データ(アレイCGH解析)と予後情報を取得し、高リスクマーカーの抽出と検証を行った。 結果:NCC Oncopanel-Pedの作製と小児がん解析については今年度論文化され、Todai Oncopanel 2(TOP2)のデザイン決定とこれを用いたJCCG-TOP2研究の礎となった。HR-NB臨床試験例160例については、遺伝子変異、aCGHデータ、既知遺伝子マーカー、血清マーカー、テロメア維持機構異常、DNAメチル化マーカーからなるgenomic Landscapeを作成した。テロメア維持機構異常は高リスクMYCN非増幅例の過半数を占めること、テロメア異常伸長であるALT陽性例は2015-2017年に実施されたHR-NB試験例において3年以降累積イベントが増加傾向にあり、さらに長期の追跡が必要であることが示唆された。また、CDK4増幅やCDKN2A欠失を持つ症例では予後不良例が多く見られた。一方、遺伝子変異のうち最も高頻度に見られたのはALK変異であり(160例中11例)、2015-2017年の試験例ではそれ以前の試験例にくらべてALK変異例のevent-free生存率の向上が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、過去症例や日本小児がん研究グループ神経芽腫委員会の高リスク神経芽腫臨床試験登録例について、既知リスクマーカー、ゲノムマーカー(テロメア維持機構ならびにメチル化マーカーCIMP)の多変量解析は完了した。結果を取りまとめて論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
高リスク試験例の解析結果をもとに、次期高リスク/再発症例臨床試験の付随研究に用いる各種マーカーの選別を行う。網羅的遺伝子発現データを用いて、MYCN非増幅高リスク例のテロメア維持機構異常に関連する遺伝子の発現、遺伝子変異の情報を追加し、特徴的な発現プロファイルとATRX異常などの関連遺伝子群との関連性を検討する。各種プロファイルを初発-再発腫瘍検体ペアの解析にリキッド検体を加えて比較することにより、低侵襲な診断手法の可能性と限界について検討する。
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Causes of Carryover |
本研究の成果をまとめて論文作成中であり論文投稿費用に充てる予定である。
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