2023 Fiscal Year Research-status Report
microRNAを用いた新規の肝線維化診断法の確立と肝線維化治療法の開発
Project/Area Number |
20K08314
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松浦 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30580576)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの研究から、末梢血中のmiRNA発現レベルは肝線維化進展度のバイオマーカーとなる可能性を見出している。本研究では、新規の細胞外小胞(Extracellular vesicles: EVs)精製技術を用い、C型肝炎ウイルス(HCV)排除後の肝線維化改善過程における検体を用いて、血清EVs中のmiRNA発現解析を行い、新規の肝線維化バイオマーカーの確立を目指す。さらに、同定したmiRNAの肝線維化進展および線維化改善に与える影響について機能解析し、新規の核酸創薬:肝線維化改善薬を開発する。 治療によりHCV排除が得られた肝硬変患者の血清から新規のEVs精製技術である多孔質ガラスを用いたスピンカラムを用いて効率的に血清中のEVsを回収し、経時的に肝線維化・予備能の改善した患者群と、改善しない群におけるEVs中のmiRNA解析をマイクロアレイおよびRNA-seqを用いて網羅的に行い、肝線維化・予備能の改善に関連する候補miRNAを同定した。その後、候補miRNAについて別検体を用いてqPCRで再現性を検証した結果、一つのmiRNAにおいて再現された。本miRNAはこれまでの細胞・動物実験レベルで肝線維化に関与していることが報告されており、ヒトの血清EVs中の発現レベルがHCV排除後の肝線維化・予備能の改善に関連することを明らかにしたことは非常に興味深く、現在欧文誌に投稿中である。 また、治療によりHCVの排除された肝硬変患者の保存血清を用いて、その後の肝線維化・予備能の改善・悪化に関連するケモカイン/サイトカインの解析を進め、Angiopoietin-2、CXCL10が有意なケモカインとして同定され、欧文誌に2報発表した。また、血清Angiopoietin-2レベルが、HCV排除後の肝発癌に関連することも明らかにし欧文誌に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血清由来の細胞外小胞中のmiRNA発現解析における適切な方法を確立するために時間を要した。また、追加の臨床検体を得るために時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在投稿中のHCV排除後の肝線維化・予備能改善に関連する血清EVs中のmiRNAについての論文を完結する。
|