2020 Fiscal Year Research-status Report
Hepatitis virus-induced dysfunction of tumor-suppressive microRNAs and its molecular mechanisms
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20K08342
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
政木 隆博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (60535657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 大典 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (60782761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 肝癌 / 肝炎ウイルイス / C型肝炎ウイルス / 宿主因子 / miRISC |
Outline of Annual Research Achievements |
癌抑制性マイクロRNA(miRNA)の発現・機能異常が肝癌の発症や悪性化と関連することが指摘されている。申請者は今までに、1) C型肝炎ウイルス(HCV)感染によりmiR-122をはじめとする癌抑制性miRNAの機能障害が引き起こされること、2) miR-122の機能障害はアミノ酸トランスポーターの発現を増強させ、肝癌細胞の増殖を促進させることを見出した。本研究では、さらに以下の2項目の達成を目的とした。1) miR-122以外の癌抑制性miRNAに着目し、HCVがこれらのmiRNAの機能障害を引き起こす分子メカニズム(標的宿主因子)を明らかにすること、2) 癌抑制性miRNAの機能障害が肝癌細胞の増殖能に与える影響を解析し、その過程に関与する宿主因子を同定すること、である。2020年度は、主に、miR-122以外の癌抑制性miRNAの機能障害に関与する宿主蛋白質の探索を行った。HCVが標的とする宿主細胞性因子を同定するために、miRNAの成熟化に関与する宿主因子のノックダウンおよび過剰発現実験を行った。その結果、microRNA-induced silencing complex(miRISC)の構成因子のうち、AGO蛋白質のノックダウンがsubgenomic replicon細胞におけるmiRNA機能を有意に抑制した。反対に、AGO蛋白質の過剰発現はHCV感染細胞におけるmiRNA機能を顕著に回復した。以上の結果より、HCVがAGO蛋白質を中心とするmiRISCを標的とし、その機能を障害することで、miR-122以外の癌抑制性miRNAの機能不全を惹起する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の拡散による勤務制限、研究資材の調達不足により、一部の研究(免疫沈降実験、miRNA機能不全細胞の樹立)の進捗が当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
HCV感染が癌抑制性miRNAの機能障害を引き起こす分子メカニズム(HCVの標的宿主因子)を明らかにするために、以下の3つの検討を行う。1) miRNAの機能発現に関与する宿主因子の中からHCV結合蛋白質を免疫沈降実験により同定する。2) HCV結合蛋白質のノックダウンおよび過剰発現細胞を作製し、miRNAの機能を評価する。3) HCV感染細胞を用いてHCV結合蛋白質とmiRNA間の相互作用を精査する。 癌抑制性miRNAの機能障害が肝癌細胞の増殖能に与える影響を解析し、その過程に関与する宿主因子を同定するために、以下の4つの検討を行う。1) 癌抑制性miRNAの機能不全細胞を作製する。2) miRNAの機能不全に伴う癌・増殖関連遺伝子の発現変化を精査する。3) miRNA機能不全細胞の増殖能、遊走能、浸潤能を評価する。4) miRNA機能不全細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍形成能を評価する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の拡散による勤務制限、研究資材の調達不足により、当該年度に予定していた一部の研究(免疫沈降実験、miRNA機能不全細胞の樹立)の遂行に遅れが生じたため。 次年度使用額は、遅れが生じた研究の遂行に使用するとともに、次年度以降に予定している研究の受託解析費(マイクロアレイ解析費)や動物実験・飼育費(ヌードマウス購入費)などに充てる予定である。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Identification of microRNA associated with the elimination of hepatitis C virus genotype 1b by direct‐acting antiviral therapies2021
Author(s)
Yoneyama H, Morishita A, Iwama H, Fujita K, Takahiro Masaki, Tani J, Tadokoro T, Nomura T, Sakamoto T, Oura K, Takuma K, Nakahara M, Mimura S, Deguchi A, Oryu M, Tsutsui K, Himoto T, Shimotohno K, Wakita T, Kobara H, Masaki T
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Journal Title
Journal of Gastroenterology and Hepatology
Volume: 36
Pages: 1126~1135
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Investigation of the effects of urea cycle amino acids on the expression of ALB and CEBPB in the human hepatocellular carcinoma cell line FLC-42020
Author(s)
Fujimi TJ, Mezaki Y, Takahiro Masaki, Tajima A, Nakamura M, Yoshikawa A, Murai N, Aizawa M, Kojima S, Matsumoto Y, Aizaki H, Matsuura T
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Journal Title
Human Cell
Volume: 33
Pages: 590~598
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 臨床検体から分離された肺炎球菌の莢膜血清型の解析2021
Author(s)
安藤隆, 政木隆博, 河野緑, 山下茜, 遠藤彰一郎, 永野裕子, 坂本和美, 田村卓, 阿部正樹, 中田浩二, 松浦知和
Organizer
第32回日本臨床微生物学会総会・学術集会
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[Presentation] Lack of association of high-density lipoprotein cholesterol efflux capacity (CEC) with glycometabolic parameters in patients with ischemic heart disease2021
Author(s)
Sasaki M, Ezaki H, Ayori M, Takahiro Masaki, Ochi S, Arakawa J, Suenaga Y, Endo Y, Teramoto M, Sakurada M, Matsuura T, Ikewaki K
Organizer
第85回日本循環器学会学術集会
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[Presentation] 臨床検査用全自動高速液体クロマトグラフィー・質量分析システムによる血清25ヒドロキシビタミンDの測定 -基準範囲の設定-2020
Author(s)
宮本博康, 川上大輔, 久保敬信, 池田勇一, 小笠原洋治, 政木隆博, 野尻明由美, 越智小枝, 川口憲治, 木杉玲子, 中山律子, 花房信博, 海渡健, 松浦知和
Organizer
第137回成医会総会
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[Presentation] 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出のための各種PCR検査法の使用経験と性能比較2020
Author(s)
政木隆博, 河野緑, 目崎喜弘, 田村卓, 秋月摂子, 川口憲治, 越智小枝, 野尻明由美, 小笠原洋治, 池田勇一, 海渡健, 松浦知和
Organizer
第67回日本臨床検査医学会学術集会
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[Presentation] 川崎病発症30年後に急速に拡大した超巨大冠動脈瘤の一例2020
Author(s)
松竹美月, 安藤達也, 野尻明由美, 町田規子, 榎本由美, 鈴木水緒, 熊谷このみ, 河合昭人, 吉見珠美, 越智小枝, 政木隆博, 川口憲治, 小笠原洋治, 中尾充貴, 儀武路雄, 國原孝, 池田勇一, 松浦知和, 海渡健
Organizer
第67回日本臨床検査医学会学術集会
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[Presentation] 全自動LC-MS/MS装置を使用した血清25OHヒドロキシビタミンDの検討2020
Author(s)
宮本博康, 川上大輔, 池田勇一, 小笠原洋治, 政木隆博, 野尻明由美, 越智小枝, 川口憲治, 花房信博, 海渡健, 松浦知和
Organizer
第67回日本臨床検査医学会学術集会
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[Presentation] 全自動LCMSシステムを用いた日本人における25(OH)ビタミンD基準値の検討2020
Author(s)
川上大輔, 中山律子, 木杉玲子, 宮本博康, 久保敬信, 川口憲治, 野尻明由美, 目崎喜弘, 越智小枝, 政木隆博, 永森收志, 松浦知和
Organizer
第366回脂溶性ビタミン総合研究委員会
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