2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K08356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥崎 大介 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩文 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30322184)
横山 雄起 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60615714)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MAF / 大腸癌 / ノックアウトマウス / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロイシンジッパー型転写因子であるMAF (musculoaponeurotic fibrosarcoma) はトリ肉腫ウイルスより癌遺伝子として単離され、乳癌や多発性骨髄腫では癌遺伝子の機能をもつ事が報告されている。一方、トリの水晶体の分化においては、Mafが癌抑制遺伝子p27kip1を誘導することで細胞周期を停止させること、末梢神経腫瘍では in vitro実験で癌抑制的な働きが報告されていることからMAFの機能には器官特異的に癌抑制遺伝子としての作用もあるとみられる。大腸癌は多段階発癌の過程で、本研究では、MAFの大腸癌の発生・進展における役割を明らかとすることを目的とした。①大腸正常粘膜80例, 腺腫内癌20例, 大腸癌80例を用いてMAFの免疫染色を行った。MAFは大腸上皮細胞や癌細胞に発現しており、腫瘍部では早期癌から発現の低下を認めた。またP53の異常蛋白蓄積とMAFは相補的な発現パターンを取った。②IEC18, HCT116を用いたin vitro 実験では、コロニー形成能、増殖性、抗癌剤感受性、アポトーシス誘導などの点でMAFは癌抑制的に働いた。p53-/- HCT116細胞にp53変異(R175H, R248W)を導入するとmiR-155が誘導され、MAF発現が減少したことからp53変異はMAFの発現低下を加速させるものと考えられた。③ MAFノックアウトマウスによる腫瘍促進効果の検証:遺伝子欠失や塩基置換を伴った(1塩基欠損, 8塩基欠損, 52塩基欠損)3種類のMAFノックアウトマウスを作成し、アゾキシメタンとデキストラン硫酸ナトリウムを投与し大腸腫瘍を作成した。現在順次マウスを回収しその結果が明らかとなりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床サンプルを用いた解析、細胞株を用いた解析で仮説通りにMAFが癌抑制的に働く可能性が示された。ノックアウトマウスを用いた実験も多くの手続きを経て、実行した。2年目にphenotype(表現型)、すなわちポリープ形成能の差が明らかとなる予定である。現在、順次マウスを回収しているところであるが、大腸に複数の腫瘍が形成されていることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型とMAF遺伝子ノックアウトマウスとで腫瘍サイズ、個数を比較する。腫瘍サンプルを用いて、MAF発現、Ki67増殖マーカー、カスペース3,p53などの免疫染色を行う。マウスと同じ遺伝子欠損を有する大腸癌HCT116, 小腸上皮IEC18を作成し、発癌のメカニズムを明らかとする。
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[Book] 炎症と免疫2020
Author(s)
奥崎 大介
Total Pages
3
Publisher
先端医学社
ISBN
978-4-86550-346-3