2020 Fiscal Year Research-status Report
高血圧患者における新規リスク層別化指標の開発:血管内皮機能とマイクロRNA
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20K08431
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
廣岡 良隆 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (90284497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 創 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (90136432)
安田 聖子 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (70747097)
篠原 啓介 九州大学, 医学研究院, 助教 (30784491)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高血圧 / 心不全 / 血管内皮機能 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧を基礎とする心血管病抑制は喫緊の課題である。また、本邦の心不全患者増加が懸念されている。その中で駆出率(EF)が保たれた心不全は約半数を占め、高齢、女性、高血圧が主要な因子であり、高血圧はコントロールできる因子にも関わらず管理状況は不良である。 本研究では、高血圧の初期から低下することが知られている生理検査による血管内皮機能と血液検査によるエクソソームとして注目されているマイクロRNA(miRNA)を組み合わせ高血圧の病態としての新たなリスク層別化指標の探索を目指す。 初年度は地域中核基幹病院である高木病院 高血圧・心不全センターを受診した未治療高血圧患者(約100名)について血流依存性血管拡張反応(FMD)検査による血管内皮機能と心不全指標の関係を調べた。FMD値は年齢による影響が大きいため、60歳で区切り、また、男女別の解析を行った。その結果、60歳未満男性において収縮期血圧、拡張期血圧、HbA1c 、60歳未満女性において脈圧、HbA1cとFMD値に負の相関がみられた。また、60歳未満の男女ともにEFは保たれていてもFMD値が低下しているとE/Aが低下しているという相関を認めた。E/e’の値とは直接の相関を認めなかったが、拡張機能低下を示唆するE/e’>14ではFMD値は低下していた。以上の成績は、若年・中年期から高血圧患者では血管内皮機能が低下していること、心不全の前段階として血圧・血糖管理を行っていく必要があることを示唆する。 血液検査としてのmiRNA測定については高血圧との関連が示唆されている候補を数種類測定を行っている。まず、専門家を含む研究分担者間で測定法の精度を確認した。現在、FMD値で正常値、境界域、低下のグループに分けて測定を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究であり、対象患者数を確保することがまず難しい場合がよくあるが、初年度としては可能な範囲で実施することができた。地域医療では治療抵抗性のみならず未治療高血圧患者が多い実態もわかってきた。 無症状であることがほとんどであるが若年・中年者でも血管内皮機能が低下していること、糖代謝異常を合併している患者数も多いこと、明らかな心肥大がなくても心拡張機能が低下していることなどもみえてきた。 血液検査によるマイクロRNA測定は手技が安定するまで時間がかかることが予想された。専門家を含む研究分担者間で測定精度が安定してきたため、現在、解析できるよう測定を始めたところであり、想定範囲の進捗状況であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
登録患者数を増やしFMD値へ影響する因子の解析を進めていく。解析法についても専門家へ相談しながら各因子の重要性を明らかにしていく。 心機能について、心収縮機能、拡張機能(さまざまな指標がある),血漿BNP濃度などについて詳細を解析していく。特に、日本人に多い収縮機能が保たれた心不全では高血圧の関与が大きいことが推定されるため各指標を細かに分析する予定である。 血液検査によるmiRNA測定は候補を数種類あげて測定を開始しているが結果をみながら2~3種類へ絞っていく予定である。 また、同じ患者での標準治療による経時的変化をみることも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で大学内での研究実施時間の制限が生じたり、教育における対応が必要とされたことから研究実施時間の削減が生じたため、物品購入を次年度へ持ち越す必要が生じた。 また、各種学会は中止やオンラインによる実施となり学会旅費・宿泊費を使用できなかった。
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Research Products
(8 results)